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東中野2013年07月08日 20:40

 先日、このブログで田端にちなんだ思い出を書いたら、地元の方から「わらちゃった」とコメントをいただいたので、もしよかったら今度は東中野でわらってやってください。

 あれは小坂明子の「あなた」がよくラジオから流れていた頃だったと思います。
 まだ制服の中で体が踊る新米の中学生だった私は、体罰にカステラ一番を躍らせる美術教師が、授業の最後で小出しに語る怪談を、毎週楽しみにしていました。

 怪談のあらすじとしては、東中野にある不気味な洋館に忍び込んだ主人公が、地下に続く階段を見つけて降りていくと、そこには! と言うたった2行で済む、怖くも面白くも落ちもないぱっとしない話。

 それをあの美術の先生はどうやって1学期の間毎週引き延ばして、騒がしい中学生を引きつけたのか? そんな話をなんで楽しみに待っていたのか? 今となっては全く理解を超えますが、とにかく楽しみでした。

 ある日同じようにその怪談に惹かれた同級生の二人と、件の洋館を探しに行こう!という話になりました。

 この時も田端の時と同じく、放課後一度家に帰って、懐中電灯やロープを持って竹下口集合。この時の連れは学年一モテモテのテニス部のMーサンと、秀才Aックン。何事も熱くまっすぐな(= 単純な)Mーサンはともかく、なんで冷静ニヒルな(= あげ足取りの)Aックンが話に乗ったのか?よく考えると不思議です。

 ともかく目指しました東中野。
 手がかりは東中野4丁目、空き家の洋館、地下室がある。

 あのころの私たちは、GPSもスマホも無いのに、これだけの情報があるんだから、行けば見つかると自信満々。見つからなかったらとか、作り話だったらとか一切頭にありませんでした。なぜかと言うと、おバカだったんです。

 古い洋館なんだから、広い庭があって、木々に囲まれて。そんなイメージで探していたら、塀で囲われた森があるではないですか。
 私たちは躊躇なく塀を乗り越えて庭に侵入。
 ほーら大きな池と、滝と、松と、錦鯉と。 

 え? 洋館なのに? 
    
 よく見渡すと、「日本閣」の看板が。チューボー3人組は有名な結婚式場の庭園に堂々侵入していたのでした。
 今なら言えます。「外から見て、一目でわかるだろ!」

 幸い平日の午後で人目がなかったので、そのまま何食わぬ顔で駐車場を通って脱出して、今度は3人で手分けして洋館を探しました。

 結局1時間くらいほっつき歩いてもそれらしき洋館は見つからず(あるわけないですよね。)、付近の住人に不審に思われながら、奇跡的に1か所、地下室への階段がある取り壊された家の跡を発見。

 いいかげん疲れた3人組みの結論は、ここだったに違いない。
 せっかく見つけたんだから地下に降りてみれば良いのに、既に暗くなりかけた空にビビッて、「取り壊されたんじゃ仕方ないね。」とお互い納得しあって、あっさり逃げ帰ってきてしまいました。

 それなのに翌日クラスでは、「きのう、東中野のお化け屋敷いってきたんだぜぃ、オレら。」と自慢。

 まさかいんちき怪談本気にするおバカがいるとは、思わなかったでしょ、天国のH先生。