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絵本紹介(181) パパはジョニーっていうんだ2015年03月26日 23:44

題名   : パパはジョニーっていうんだ
作    : ボー・R・ホルムベイル
絵    : エヴァ・エリクソン
訳    : ひしき あきらこ
発行所 : BL出版

 今回ご紹介する絵本は北欧スウェーデンのお話しです。でもいつも北欧でイメージする森と湖と妖精のお話しではなくて、訳あって離れてしまった家族のお話しです。


 お母さんといっしょに8か月前にこの街に引っ越して来たティムは、駅のホームに立ってお父さんが乗った電車の到着を待っています。ティムを駅に連れて来たお母さんは、お父さんが來るまでここを動くなと言い残して帰っていきました。

   しばらくすると、やっと電車が来ました。電車から降りたお父さんは駆けてきてティムを抱き上げました。

 「ああ、ティム。やっとこられたよ。会いたかった。きょうは、ふたりでなにをしようか?」

 それからティムとお父さんの楽しい時間が始まります。ティムはうれしくて、会う人会う人にお父さんを自慢します。

   ホットドッグ屋のおばさんに、「ぼくのパパだよ。ジョニーっていうんだ。」

 映画館ではもぎりのおじさんに、「ぼくのパパだよ。いっしょに映画をみるんだ。」
 映画の後で入ったピザ屋では、顔見知りの店員さんに、「きょうはパパといっしょだよ。ジョニーっていうんだ。」と胸をはりました。


 でもパパと一緒の楽しい時はあっという間に過ぎて、パパを駅まで送っていかなければならない時刻になりました。
 パパが帰る電車が止まっているホームまで来ると、パパが発車時刻を見て「まだ2、3分ある。」そういってティムを抱き上げました。

 そしてそのまま電車に乗り込むと、「みなさん、ちょっといいですか?」「この子は、ぼくの息子です。最高にいいむすこです。ティムっていうんです!」声をはりあげてそう言いました。

なんか、切ないお話ですね。ジョニーはとても良いお父さんで、お母さんだって良い人そうなのに、二人の間にいったい何があったの?3人では暮らしていけなかったの?思わずそう問いたくなりますが、男と女そう単純じゃないですよね。
 30年前に映画「クレイマークレイマー」を観た時にはどこか遠い世界のできごとでしたが、今や日本だって一度は永遠の愛を誓いながらいつの間にかズレて離れてしまったご夫婦はたくさんいるので、きっとティムみたいな経験をしている子も多いのでしょうね。
 子供にはなんの責任もないので、願わくば夫婦は離れてしまっても、親と子の関係はティムとジョニーの様に近いまま続いて欲しいものです。

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