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絵本紹介(173) ほしとたんぽぽ2015年02月26日 23:05

題名    : ほしとたんぽぽ
詩     : 金子みすゞ
絵     : 上野紀子
発行所  : JULA出版局

 今日は大正から昭和にかけて童謡詩人として活躍して、わずか26歳の若さで亡くなった金子みすゞの詩の何篇かを選んだ絵本のご紹介です。周囲への優しいし観察力に圧倒される詩ばかりです。


 「おさかな」

 うみの さかなは かわいそう。
 おこめは ひとに つくられる、
 うしは まきばで かわれてる、
 こいも おいけで ふを もらう。
 けれども うみの おさかなは
 なんにも せわに ならないし
 いたずら ひとつ しないのに
 こうして わたしに たべられる。
 ほんとうに さかなは かわいそう。


 「つもった ゆき」

   うえの ゆき
 さむかろな。
 つめたい つきが さしていて。
 したの ゆき
 おもかろな。
 なんびゃくにんも のせていて。
 なかの ゆき
 さみしかろな。
 そらも じべたも みえないで。


   「つゆ」 

   だれにも いわずに おきましょう。
 あさの おにわの すみっこで、
 はなが ほろりと ないた こと。
 もしも うわさが ひろがって
 はちの おみみへ はいったら、
 わるい ことでも したように、
 みつを かえしに ゆくでしょう。




「ほしと たんぽぽ」

 あおい おそらの そこ ふかく
 うみの こいしの そのように、
 よるが くるまで しずんでる、
 ひるの おほしは めに みえぬ。
 みえぬけれども あるんだよ、
 みえぬ ものでも あるんだよ。
 ちって すがれた たんぽぽの、
 かわらの すきに、 だァまって、
 はるの くるまで かくれてる、
 つよい その ねは めに みえぬ。
 みえぬけれども あるんだよ。
 みえぬ ものでも あるんだよ。


 「わたしと ことりと すずと」

 わたしが りょうてを ひろげても、
 おそらを ちっとも とべないが、
 とべる ことりは わたしのように、
 じべたを はやくは はしれない。
 わたしが からだを ゆすっても、
 きれいな おとは でないけど、
 あの なる すずは わたしのように
 たくさん うたは しらないよ。
 すずと、 ことりと、 それから わたし、
 みんな ちがって、 みんな いい。


   どれも素敵な詩ですよね。
 なんか、心にすとーんと響いてくる。
 おおげさじゃなくて、思春期に出会っていたら人生変えられていたかも、そう思えるほどのインパクトがありました
 いやいや、思秋期じゃなくても、いまからでも大いに影響されちゃういそうです。

 みんな ちがって、 みんな いい。