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まずカタチから。2013年12月17日 23:16

 自分で店を始めてから、街で見つけた新規開店のお店の景気が気になることが増えました。
 とくに個人がたった一人で切り盛りしているらしいお店には、なんか親近感を覚えて店の前を通るたびに繁盛ぶりはどうかなぁと中を覗いてしまいます。

 目下、気になるお店が3軒。

 一軒目は自宅とJRの駅の間に半年くらい前にオープンしたイタリアンのカジュアルレストラン。
 住宅地の中だけどそれなりに人通りのある角に、ガラス張りの入り口と出窓があって、中は広めのスペースに弧を描く木製のカウンター席だけが用意されている小洒落たお店です。
 シェフは50代半ばくらいで白鬚を蓄えたダンディーなオジサンだし、表に貼られたメニューを見るとランチタイムのパスタならば値段は適正な範囲なのに、なぜかお客が入っていません。
 いつもカウンターのなかでポツンと座るシェフの姿に同情して、いつかUshiさんに「ねえ、このままじゃせっかくのお店がやばそうだから、一度食べにいこうよ。」と誘ったら、一言「いいわぁ~。(遠慮しとくのいいわ)」
 そう、お店はきれいだし、内装のアクセントに赤なんか使ってスタイリッシュだし、シェフは本物っぽいけど。。。ちっとも美味しそうな気配が伝わってこないんです。 なんでだろう。

 二軒目は職場の近くでいつも昼を食べに出かける商店街に夏くらいに出店した自称「オジサンがやってるアロマのお店」。
 わたしと変わらない年代のオジサンが一人、アロマオイルや石鹸やハーブなんかを置いている店のレジ前に、いつもぽつんと座って商店街を行きかう人の流れをぼんやり見ています。
 JRの駅から数分の人通りがにぎやかな商店街で、外装にカントリー風の木材をセンス良く使って、大きなウインドウを通して明るく清潔な店内が見渡せるのですが、今までお客が入っているのを一度だけしか見た憶えがありません。
 ここのオジサンにも、人生の第三コーナーで思いきっちゃった同志のシンパシーを勝手に感じていて、なんかのきっかけで話をしてみたいのですが、オジサンがやってるアロマの店に、白昼オジサンが客で入るのは犯罪的香りがして、敷居を一歩またぐ勇気がありません。
 いつも「オジサン頑張れ。今にきっといいことあるって。」と心で念じて通りすぎています。

 三軒目は、やはり職場の近くで、9月くらいにオープンした日本肥満予防健康協会認定肥満予防健康管理士という心惹かれる肩書を持つママさんがやってる、元ラーメン屋の店舗を居ぬきで借りている「べじCafe」。
 前に一度ランチを食べてみたら、値段が¥700なのに、野菜や大豆や海藻を使ったおかずが5皿くらいついた定食を振舞われて、食後にコーヒーと自家製デザート(その時は梅ゼリー)までついてびっくりさせられました。
 しかもボリューム的には肥満体のオジサンでも満足できて、それでいて使っている材料は低カロリー、高たんぱく、ビタミン・ミネラルたっぷりという理想的食事でした。
 それ以来、ときどき入ってみたくて中を覗くのですが、カウンター6席しかない5坪もなさそうな店内に、昼時はだいたい女性が2~3人先客でいるので、気まずくてあきらめています。

 この3軒比べてみると、おもしろいことに気づかされますね。

 条件の良い場所で、外見をおしゃれに整えて、商品も誰もが憧れるようなセンスの良いものを扱っているのに、お客の入りがイマイチなオジサン二人の店。
 一方元ラーメン屋を最低限改装して、それほど目立たず、おしゃれとは言えない内装の狭い店で、リピーターを生み出す工夫の料理をふるまうオバサンの店。

 男って(もちろん私も含めて)オジサンになっても結構ロマンチストで、自分が酔う世界観にきっと周りも同調してくれるだろうと思いこんじゃうところがあるんですね。
 だから見た目にこだわって、まずカタチから。仕掛けがついつい大げさになって、第三者にしてみればちょっと押し付けがましくて腰が引けちゃう。
 それに対してオバサンは堅実。自分のできる範囲から始めて、手探りちょっとずつできることを広げていきます。しかも進むべき方向を嗅ぎ取る嗅覚はものすごく鋭くて、いつの間にか天下取っちゃう。

 オバサン恐るべし。目覚めよオジサン。
 Ushiさん、一生ついて行くから見捨てないでね。

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