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2014年元旦 春の息吹2014年01月01日 23:30

 日差しが柔らかで暖かな朝で始まった2014年。
 看板犬たちの朝の散歩に、いつも行く近くの公園をぐるっと歩いて回ってきました。

 この公園の池には、昨年暮れからカワセミがやってきています。
 私たちが気づいてからでも3年続けて冬になると飛んできていて、池に張り出したお気に入りの枝に留まって魚の影を待ちます。
 そして宝石のような翼の裏側をきらめかせて、一瞬のダイブ。見事に小魚をくわえて、岩の上のダイニングに運んで満足そうに小魚を丸のみす姿を、比較的間近で見せてくれるんです。

 今日もそんなカワセミの姿が見たくて池のそばで粘ったのですが、正月休みで人通りが多いからか、今日は姿を現してくれませんでした。

 その代わりに公園の一画で春の息吹を見つけました。
 日当たりの良い場所に植えられた河津桜。もう花芽が膨らんで少しピンク色になってきていました。(上の写真参照)
 
 ここの公園、なかなか考えられていて、これから春にかけて、河津桜、白梅、紅梅、ソメイヨシノ、枝垂桜と花のリレーを楽しめるように植樹されています。もうしばらくすると、花を目当てにメジロや鶯もやってきて、日に日に春の訪れが身近に感じられてウキウキさせられる一画になっています。

 春の息吹と言えば、今日はもうすぐ3歳になるカワイイ男の子と女の子の双子のお客様を我が家に迎えました。
 3歳と言えば子供の可愛さの旬(個人的な感想です)。周りのいろいろなものに興味を持って、何をするのも楽しくて、生命の春が輝いていました。

 この双子ちゃんのお父さん・お母さんは当然ながら私よりずーっと若い世代ですが、双子ちゃんのそれぞれの個性にゆっくりと向き合って、落ち着いた子育てを実践している様子です。自分が若かった時に比べてとてもしっかりしていて、若い世代もなかなかやるなぁーととても感心しました。

 若い世代のお父さん・お母さんが、みんな生活に不安なく、ゆったりと子育てに向き合えたら、きっと将来の日本は安泰になるのでしょうね。
 今年こそ、政治家の先生方、よろしく頼みますよ、本当に。

絵本紹介(57) 最初の質問2014年01月02日 21:22

題名    : 最初の質問
文(詩)  : 長田弘
絵     : いせひでこ
出版社  : 講談社

 中学校の国語の教科書にも取り上げられている、「今日、あなたは空を見上げましたか。」で始まる長田弘さんの有名な詩に、「ルリユールおじさん」の絵本作家いせひでこさんがやわらかで優しい挿絵を付けた、とても情景的な絵本をご紹介します。

 「今日、あなたは空を見上げましたか。空は遠かったですか、近かったですか。」


 「雲はどんなかたちをしていましたか。風邪はどんな匂いがしましたか。」


 「このまえ、川を見つめたのはいつでしたか。砂のうえに座ったのは、草のうえに座ったのはいつでしたか。」


 「夜明け前に啼きかわす鳥の声を聴いたことがありますか。ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。」


 「問いと答えと、いまあなたにとって必要なのはどっちですか。これだけはしないと、心に決めていることがありますか。」


   いい詩、ですよね。
残念ながら、私、文学的な感受性が高くないので、詩というものがとんとわかりません。そんな私にも、長田さんの詩はすっと心にしみてきました。
 上でご紹介したのは詩全編の一部ですが、それでも一行一行に読み手を素直で澄んだ気持ちに誘う力を感じます。だから中学生の教科書に載っているのかな?

 素直になれる詩と、柔らかな挿絵と、いつもそばに置いておいて、イラついたとき、疲れた時、折れそうなとき、舞い上がっている時、手に取りたい絵本です。

1/4あぷりこっとつりーこぼれ話 想定外のご来店2014年01月04日 17:15

 今日から裏原宿のちいさな絵本と雑貨の店「あぷりこっとつりー」は、2014年の営業を始めました。
 今年もお客様にほっとしていただける店造りを目指して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

 お正月の三が日が終わったといっても、今日はまだユーターンラッシュがニュースの話題に上っているくらい。 きっとまだ裏原の人出は少ないだろうなぁ、お客様来てくださるかなぁと不安を抱えつつの開店でした。

 でも予想に反して、いつもはノーゲストの午前中から沢山のお客様がご来店。新しい年は日頃入らない新しい店を開拓してみたくなるのでしょうかね?
 しかも全く予想もしていなかったのですが、亡き父の友人で建築家のAKTさんが、わざわざ店を訪ねてきて下さるといううれしいサプライズがありました。

 御年83歳の大先輩AKTさん、私が幼いころから家族ぐるみで仲良くして頂き、Ushiさんとの祝言に際しては仲人をお願いした方です。
 いつも飄々として仕事も余暇も上手に楽しむ達人で、大人になったらあんな生き方をしたいなーとずっと憧れてきました。
 年賀状で店を始めたことをご報告したところ、さっそくURLをチェックして店の場所を調べて、公園通りにあるご自宅から、ご日課の代々木公園散歩の延長で、歩いて裏原宿まで来て下さいました。
 お年を召してもその行動力は全然衰え知らずで驚嘆致しました。
 やっぱカッコイイです。

 大変な恩人でありながら、一線を退かれた先輩の穏やかな生活のお邪魔になってはいけないと、最近はお目にかかることを控えていたのですが、期せずしてご来店頂き、久しぶりにお元気なお顔を拝見することができました。

 店を始めて良かったなぁと思うことの一つに、旧知の友人や知人と再会できるチャンスに恵まれることがあります。
 昨年は、日頃の音信が途絶えていた小学校、中学校の同級生たちが、他の同級生と連れだって遊びに来てくれました。年賀状だけの付き合いだったかつての職場の同僚も、噂を聞きつけてわざわざやってきてくれました。
 そして今日、憧れの大恩人まで。
 
 みなさん自宅を訪ねたり、わざわざどこかに呼び出したりは躊躇しても、店なら少し気軽に「近くまで来たから、ちょっと覗いてみようか。」と思って頂けるようです。
 普段遠く離れていても、何かの時に気にかけて頂ける幸せ、心から感謝です。

 それにしても、ブログを見て下さったAKTさんから、「ブログに載せている店の電話番号、違っていますよ。」と指摘されて、半年以上も電話番号記載間違えていたこと始めて気づきました。

 天命を知らなきゃいけない50代、健脚の大先輩の前にはまだまだはなたれ小僧の様です。

絵本紹介(58) マッチ箱日記2014年01月05日 22:50

題名   : マッチ箱日記
文    : ポール・フライシュマン
絵    : バグラム・イバトゥーリン
訳    : 島 式子、島 玲子
出版社 : BL出版

 今回ご紹介する絵本は、アメリカのイタリア移民のおじいさんが、ひ孫に自分の「日記」を見せながら、きびしかった少年時代の暮らしを話して聞かせる物語です。ヒトの生きる力、明日を信じる力が感じられて、勇気を与えてくれる絵本です。

 骨董品屋のおじいさんの元に遊びに来たひ孫娘が、一つの古い葉巻の箱に興味を持ちました。
 中には古いマッチ箱がいっぱい詰まっています。


 おじいさんは、「わしの日記だよ。」と言って、「おまえくらいのころ、ひいじいちゃんは、読むことも書くこともできなかった。だから、マッチ箱にその日の思い出を入れることにしたのさ。」と説明してくれました。

 そして古いマッチ箱を順番に開けながら、おじいさんの人生をひ孫娘に話して聞かせます。


 最初に開けた箱から出てきたのは干からびた種。
 「なに、これ?」と聞くひ孫に、おじいさんはそれがオリーブの種であると教えます。自分はイタリアの生まれで、とても貧しくて床の無い家で、冬は暖房もなく、おなかがすくとオリーブの種をなめていた話も。


 次に開いた箱からはくしゃくしゃになった写真が出てきました。
 「この人は、だれ?」と聞くひ孫に、おじいさんは「わしの父さんだ。」
 自分が赤ん坊のときにアメリカに出稼ぎに出たままだったけど、一度写真を送ってきてくれたので、顔を忘れないように大切にしていたこと、その父さんから一度だけ手紙が来たとき、家族は誰も字が読めなくて、学校の先生の息子さんに読んでもらったことを話してくれました。


 その次の箱の中にはひとつのマカロニが入っていました。
 雨の降らない年があって、小麦が育たずマカロニも作れなかったので、先生に頼んで父さんに手紙を書いてもらいました。ずいぶん経ってから手紙とアメリカ行きの船のキップが送られてきましたが、一緒に暮らしていたおばあちゃんの分はありませんでした。出発の朝、おばあちゃんは「わたしは大丈夫だから心配するんじゃない!」と家族をアメリカに送り出しました。
 その先のおじいさんの物語も、みんなマッチ箱の中に仕舞われた小さな思い出の品が語ってくれました。
 アメリカまでの船旅の厳しさ。父さんと家族の再会。アメリカでも貧しく厳しかった生活。学校に通って憶えたことを、姉さんたちに教えた話。。。

   生きるために新天地に賭けた移民家族の人生が、古い葉巻の箱に納められた小さなマッチ箱の中にすっぽりと収められているなんて、そこに確かな時間が感じられました。

 ハードディスクやDVDに比べたら、何億分の一か、何兆分の一か、あるいはそれよりもっと小さな容量の記録かもしれませんが、連綿と連なる思い出の扉である分、その”重さ”はマッチ箱に軍配が上がりそうです。

初カワセミに出会えました。2014年01月06日 21:55

 皆様正月休みはどうでしたでしょうか?

 世間様の大半が仕事始めで気合いが入った本日、わたしは勤め先にもう1日だけ非番いただいて、長い長い正月休みの最後の日を過ごしていました。
 暮れも27日から休みに突入させていただいたので、勤め人としては人生初めての11連休を体験してしまいました。

 休みの入る前は、11連休もあればいくら怠け者の自分でも、あれもやって、これもやって、ついでにランニングなんかで体動かしちゃってと、かなり前向きな妄想を抱いていたのですが。。。

 間に4日間の店の営業や急な弔事を挟みましたが、思い描いていたことの半分もできないで休み最後の一日を迎えて、後悔ですっかり気持ちが沈んでしまいました。
 特に運動は皆無で、ただ食べて食べて食べての飽食三昧だったので、またあわてて新しいズボンを買いに走る羽目に。

 そんな自堕落だった休みの最終日、ため息をつきながら出かけた犬たちの散歩で、久しぶりに水辺の宝石と出会うことができました。
 金色に輝くビロードの胸とターコイズブルーの背中。水の中にダイブする時にきらめくコバルトブルーの翼。チィチィチィチィチィーと良く通る澄んだ鳴き声。人の目を楽しませてくれるために生まれて来たような生きものです。

 犬たちには気の毒でしたが、だいぶ長い時間散歩の足を止めて生きた宝石に見入ってしまいました。

 終わりよければすべて良しではありませんが、今日カワセミに出会えたことで、沈んでいた気持ちがなんか軽くなりました。単純ですね。
 済んだことは仕方ないから、2014年のあと359日を楽しく生き生き使いましょう。

 ところで、カワセミがもっと訪ねて来てくれるように、公園の池に小魚を放流したい誘惑に駆られているのですが、それって自然破壊じゃあ ないですよね。