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絵本紹介(287) おはなをあげる2016年08月21日 22:12

題名  : おはなをあげる
作    : ジョナルノ ローソン
絵    : シドニー スミス
発行所 : ポプラ社

 今日ご紹介する絵本は文字が無い、絵だけの絵本です。物語が無いので、絵を見た人それぞれがお話を作り上げていくことになりますが、いろいろな物語が生まれそうです。


 モノトーンの街並みのなか、お父さんに手を引かれて一人だけ赤い色のついたレインコートを着ています。


 お父さんも、行き交う人も、車も、ハトも、みんなモノトーン。

   けれどコンクリの間から顔をのぞかせたタンポポだけが色を持っています。女の子がタンポポを摘んで香りを嗅ぐと、その一瞬だけ街に色が戻りました。


 しばらく歩くと、ガード下の壁の隙間からヒナギクが。女の子は摘み取って、タンポポと花束を作りました。

 公園の道、モノトーンのスズメの亡骸が横たわります。女の子がスズメに花を手向けると、スズメにも公園にも色が戻りました。ベンチで寝ている酔っ払いにも花をあげたら、お父さんにも街にも色が戻りました。


 少女の自宅、迎えに出て来たお母さんの髪に花飾り、庭で遊ぶ弟たちも花で飾ってあげると、お家はずっかり美しい色に包まれました。


    街に色彩を取り戻してくれた心優しい女の子なのですが、街や人に色が戻っても、なんか浮かれない顔で空を見上げます。そしてお花を持ってまたどこかに。 いったいどこに行くの?

   なんとなく単純なハッピーエンドではなさそうなストーリーが感じ取れて、不思議な余韻を残すラストになっています。

 さて、あなたなら、どんな物語にしますか?