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絵本紹介(193) かあさんのいす2015年05月10日 17:31

題名    : かあさんのいす
作     : ベラ B. ウィリアムズ
訳     : 佐野洋子
発行所  : あかね書房

 今日は母の日にちなんで、ちいさな女の子が一生懸命働く母親がくつろげる椅子を買うお話です。


 主人公の女の子は、お母さんとお婆さんと3人でアパートで暮らしています。
 お母さんはブルータイルレストランでウェイトレスをして働いて生活を支えています。

 3人がそのアパートに引っ越してきたのは1年くらい前。前に住んでいた家が火事になって、灰と燃えカスだけを残して、なにもかも失くしてしまったからでした。


 家具も、食器も、服も待たない3人に、近所の人たちや友人は様々な物を分け与えてくれました。
 テーブルに椅子に、絨毯に、ベッド。赤と白の縞模様のカーテンに鍋やスプーンやお皿、それにぬいぐるみ。

   けれども、まだ大きな椅子もソファーも無くて、お母さんは仕事から帰ってきて「足が痛くても休ませる場所すらないんだから」と嘆きます。


 女の子はお母さんにやわらかい椅子を買ってあげたくて、ブルータイルレストランでお手伝いをして貰ったコインを大きなビンに貯め始まました。

 女の子はびんがいっぱいになったら、すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きい椅子を買いに行くつもりです。そしてその椅子はバラの模様がついたビロードをかぶっていなければなりません。

 お婆ちゃんも安売り買い物ができた時は、得をした分をビンに入れてくれました。
 お母さんもお客さんからチップをたくさんもらえた時には、ビンにお金を入れてくれました。

 ある日、サンディおじさんから貰った25セントをビンにいれたら、ビンはとうとういっぱいになりました。

 溜まったコインを銀行で10ドル紙幣に換えて貰って、女の子とお母さんとお婆さんの三人は、バスに乗って街に出かけました。

   4軒の家具屋さんを回っていろいろな椅子に座って試してみました。  そして、とうとう夢にまでみた椅子を見つけたのです。

 椅子はビンの中のお金で買えました。

 家に届いた椅子は、赤と白のカーテンがかかっている窓のそばに運び込まれて、女の子とお母さんとお婆ちゃんと3人で座って記念写真を撮って貰いました。


 お婆ちゃんは昼間じゅう椅子に座って近所の人と話をしています。お母さんは仕事から帰ってくると椅子に座ってテレビのニュースを見ます。女の子もご飯が終わるとお母さんと一緒に椅子に座りますが、座っているうちに眠ってしまいます。
 すると、お母さんはそーっと電気を消しました。

 決して豊かではない、どちらかと言うと暮らし向きの厳しい家族三人の暮らしですが、ご近所や友人の親切に助けられたり、三人で力をあわせたり、とうとう夢の椅子を手に入れたり、幸せは必ずしもお金持ちかどうかだけでは決まらないものですね。
 それにしても、けなげな子だなぁー。

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