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老舗の味2015年01月23日 23:59

 仕事で紀尾井町まで出かけた帰り道、ふと思い立って半蔵門にある和菓子屋さん「一元屋」までちょっと足を延ばしてみました。

 「ここのきんつばおいしいんだよ。」と買い与えてくれたのは、昨年10月に天国に旅立たれた私たちの仲人さん。30年近い昔、半蔵門にあった結婚式場での披露宴を間近に控えた私たちの為に、式場まで下見に来て下さった帰り道でした。

 以来機会があると立ち寄って買って帰ったきんつば。

 あんこがぎっしり詰まっているのに、甘すぎずさっぱりとして、大納言が持つ自前の味と香りが引き立っています。まわりの皮はごくごくうすくて、全体がとても上品な味わいで、何個でも食べられそうです。


 2坪あるかどうか思われる小さな店舗で、商品と言えばきんつばと最中とちょっとした焼き菓子だけ。けれどもずっと変わらぬ味を守って、ずっと変わらぬ店構え。
 詳しくは知りませんが、江戸っ子の気風みたいなものが感じられて、きっと支えるファンが多いんでしょうね。

 久しぶりに食べた家族も大満足。
 ちょうど英語で雑談にやってきてくれたカナダ人のイアンさんにも持って帰って貰ったけど、気に入ったかな?

 一元屋を教えてくれた人はもういないけど、今度は自分が人に教えてあげたくなるお店です。

効いた、でしょ?2014年12月08日 11:38

土曜日から喉が痛くて微熱の次女。
喉にはカリンだ!と、張り切って漬けてひと月のカリンハチミツをお湯で溶かす私。

次女もUshiさんも、うさんくさそうな目でカリンハチミツを見て、なかなか飲もうとしません。仕方なく毒味をしてみると、おっ、うまい!ちょっとだけ爽やかな酸味が加わって、ハチミツレモンより飲みやすい。
そう言ったら、やっと次女が飲んでくれました。

その日、2度カリンハチミツを飲んだ娘は、あまり熱も上がらず、喉の痛みもひどくならずに土日を過ごしました。

もうこれは疑いなくカリンハチミツの効果でしょう!と、主張しているのに、Ushiさんも娘も同意してくれません。

逆に、ハチミツを1kgも使ったことがバレて、来年のカリン禁止を言い渡されてしまいました。イアンさんはもう来年のカリン収穫作戦を立てているというのに。。。

イアンさん、来年せっかくカリンくれても、我が家ではカリン風呂がやっとです。

ハタハタ2014年12月05日 22:53

 今年もハタハタが食卓に上りました。

 神の魚(鰰)、または雷の魚(鱩)と書いて、ハタハタ。
 東京ではなじみが薄い魚ですので、食べたことのない方も多いかと思います。

 体調は20cm位のうろこが無い魚です。普段は日本海の深部に住んでいて、水温が下がる初冬、産卵のため浅瀬にやってきます。
 とても油が乗っていて、焼き魚にすると、ジュージューと油がしたたり落ちるんです。メスはブリコと呼ばれるイクラよりちょっと小さいくらいの粒を大きな塊で腹に抱えていて、焼いて食べると口の中でぷりぷりと卵がはじけます。

 子供の頃、父親の仕事の関係で、秋田市の土崎という港の近くで6年くらい暮らしました。
 ハタハタは秋田音頭の中でも歌われる名物の一つで、秋田の冬には当たり前の魚でした。しかも私が暮らした40数年前は、ちょうどめちゃくちゃ豊漁だった時期だと思われます。港の市場では、縦30cm×横50cm×深さ10cm位の木箱にいっぱい詰まって(たぶん40~50匹くらい)\100。 棒アイスが1本\10、焼き芋5本で¥300くらいの時代でしたが、それでも家族みんなの夕飯のおかずになる魚が、わずか¥100は、超破格の値段だったと思います。

 当時、大酒飲みの父親が給料のほとんどを飲み代に使ってしまって、生活が苦しかった我が家にとって、ハタハタはまさに神の魚だったのでしょう。冬の間、ハタハタは4番サード長島みたいに華麗で不動の存在でした。

 だからハタハタを見かけるとつい懐かしくて食べたくなるのです。
 傷みやすい魚なので輸送が難しく、少し昔は東京で見かけることはありませんでしたが、最近は流通が良くなったのでしょう、ときどき見かけます。
 札幌で暮らしていた頃にスーパーで見つけ、食べたことの無かったUshiさんに教え込んでから、我が家でも冬に1~2度は食卓に上るようになりました。

 今日のハタハタ、ちょっと小さ目ですがブリコも持っておいしかったぁ。値段を聞いたら、2匹で\400くらいだそうで、ひと箱\100から考えたらすんごい高級魚になってしまいました。

 でも一冬に数回、幼かった頃の思い出をよみがえらせながら、幸せそうに焼きハタハタにかぶりつくオジサンを、大目に見てやって下さいね、Ushiさん。

素麺の季節2014年07月29日 22:20

毎日暑い日が続きますね
 暑さは得意でないのですが、素麺が食べられるから、それだけで夏は大好きです。

本当ならこの時期にチャンスある限り素麺を貪りたいのですが、クーラー動揺、素麺でも我が家の弱小野党の憂き目を見ています。

与党曰く、「続くと飽きる!」「夕食に食べるものじゃない!」「炭水化物のかたまり!」
そんな〜。こんなに美味いのに。夏しかないのに。
と、言うことで素麺も与党のいない時に嬉々として堪能したりしています。

それにしても素麺に関してはUshiさんと所帯持ってカルチャーショックを受けました。
私の実家では素麺はよく茹でてザルで水を切って、上に氷を乗せて食卓に登りました。
 ところがUshi家ではさっと1分程度茹でて、アルデンテで冷たい氷水にさらして、そのまま水に泳がせて食卓に登ります。しかも麺は桐の箱に入って金文字が付いた黒帯が巻かれた贈答用高級品。
 素麺と言ったらスーパーで買う、時々赤とか緑の麺が数本入っているのしか知らなかった私は、桐の箱入りが存在することを初めて知って、格差社会に涙しました。

しかも、一口食べてもっとビックリ。
  麺に腰が残って、サラサラの喉越しと品のある味わい。
世の中にはこんな美味いものがあったんだ!
スーパーの素麺でも大好きだったのに、今まで食べてきたものは何だったんだーと価値観がひっくり返るような衝撃を受けました。

 以来中元の季節になると、デパートから自宅用に桐の箱入り素麺を欠かさず送る贅沢に浸って、与党の皆さんのバッシングを受けています。

 うー、負けないぞ。

裏原食べログ(7) 地道に40年2014年07月11日 23:28

 原宿の竹下通りが明治通りにぶつかる交差点。
 その交差点から表参道方向に2軒目の古ーい雑居ビル(マップで調べたらメナー神宮前だそうです)の地下1階に四川料理の店、「龍の子(りゅうのこ)」があります。


 めちゃくちゃ人通りが多いロケーションなので、原宿を歩いたことがある方ならきっと前を通っているでしょうが、看板もメニューも目立たないし、地下の小さな店なので存在に気づかず通りすぎているかもしれません。

 でもうまいんです、ここ。

 ラーメンともシナそばともちょっと違うストレートの細麺を使った麺類は逸品です。
 昨日久しぶりに入ってチャーシュー葱そばを食べましたが、腰のある麺の食感と、鶏ガラだしでちょっとピリ辛のスープ、それにシャキシャキ葱に細かく刻んだ特性チャーシューがうまく絡み合って、夢中でガツガツと口に運んでしまいました。


 他にお勧めは春巻き。パリパリの皮で包まれた肉と筍いっぱいの餡は、肉のうまみが皮まで染み込んで冷めてもうまい。
 子供の頃ここで食べて春巻きに開眼してからいろんな店で頼んでみましたが、Ushiさん手製の春巻きを抜かせば、今でもここのが一番だと思っています。

 移り変わりの激しい原宿の目抜き通りで、小さな店なのに伊達に40年生き残っていない味の良さ。値段はちょっと高めですが、一度試してみて損はないと思いますよ。

おまけ ; 地元民にしか伝わりませんが、「龍の子」が入っているビルの隣は昔「玉上洋品店」でしたよねぇー。原中指定のあの超ダサい体育着買った記憶がよみがえりました。