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絵本紹介(32) ぼくのお気にいり バルビーさんちのセオドア君の話2013年09月13日 23:20

題名    : ぼくのお気にいり バルビーさんちのセオドアくんの話
文      : ベトラ・マザーズ
絵      : ベトラ・マザーズ
訳      : 今江祥智、遠藤育枝
出版社   : BL出版

 犬好きの方は、犬に見詰められると胸キュンになりますよね。

 調べものをしていて面白い話をみつけました。4年前にそれなりのニュースになった話のようなので、ご存じの方多いかもしれませんが、可愛がっている犬(例えば飼い犬)に見つめられると、ヒト(飼い主)の体の中の幸せを感じるホルモンの分泌が増えることが、獣医さんの大学、麻布大学の研究で分かったそうです。

 そうかー、そうやって犬たちは人をたらしこんでいたのかぁと思った時に、そういえばと思い出した絵本を、本日は紹介します。

 家族のいないバルビーニさんは、犬のセオドアと暮らしていました。
 バルビーニさんのいうことを、セオドアはお座りして聞きますし、食べるのも、寝るのも、散歩に行くのも二人は一緒。バルビーニさんは幸せでした。

 でもある日バルビーニさんがセオドアに餌をあげようとすると、セオドアはいやな目つきで「またドッグフードかい?ドッグフードはどうもすきになれないんだよなぁ」と言うではないですか。
 セオドアがしゃべれることに最初は驚き喜んだバルビーニさんですが、散歩でお気に入りの西海岸へ行こうとすると、「ひもにつながれるのは、ごめんだね。それに西海岸はよそうよ。」
 散歩中雨に濡れると、「からだふいてもらえないかなぁ。風邪ひきそうなんだ。」
 夕食に一つのこったラムチョップを食べようと考えていたバルビーニさんに「夕食はなんだい?一切れ残ってるラムチョップで別にいいんだけど。」
 次から次にわがまま勝手な要求ばかりするセオドアに振り回されて、バルビーニさんはすっかり疲れてしまいました。
 
 結局思わぬ方法でバルビーニさんは元の穏やかな生活を取り戻し、セオドアも自分の好みに合った素敵な生活を手に入れることができて、めでたしめでたしにはなるんですが。。。

 だいたいの絵本や童話では犬とヒトの固い絆や友情がクローズアップされてきたので、信頼していた飼い犬が実はわがままで、自分を家来の様に扱って疲れてしまうなんて設定が、とてもレアでシュールな絵本です。

 私も犬とまったりしている時、「あーあ。お前がしゃべれたらなー。」とときどき思いますが、確かに良く考えてみたら、こっちが思っているほど犬はこっちを想ってくれてないかもしれません。
 やっぱり、言わぬが花。口ほどにものを言ってくれる視線を、勝手に解釈しているのが一番幸せかもしれませんね。

 ところで紹介した絵本と全く関係ありませんが、今日の作品紹介。
避暑地にいそうなおじさん
 タイトル : 避暑地にいそうなおじさん。
 * タイトルはイメージです。実在の人物とは少ししか関係ありません。
 * 健康の為、ソフトクリームの食べすぎには注意しましょう。