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絵本紹介(197) 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ ― 2015年05月24日 17:45

題名 : 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
編 : くさばよしみ
絵 : 中川 学
発行所 : 汐文社
ちょっと変わったタイトルで昨年の3月に発行された新しい絵本ですが、既にご存知の方、もうとっくに買って読んだわと言う方も多いかもしれません。
何度かマスコミで取り上げられて、いまやAMAZONの絵本売上No.1の絵本だそうです。私は職場の人に教えて貰って最近店に仕入れました。
絵本の内容は、2012年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)におけるウルグアイ大統領の演説の紹介です。
大統領の演説なんて難しくてつまらないと決めつけがちですが、この時のウルグアイムカヒ大統領は、給料の大半を貧しい人に寄付して、大統領公邸も公用車も使わず、郊外の小さな農場で奥さんと花や野菜を作りながら大統領をやっている、ちょっと不思議な人でした。
そしてその演説内容はわかりやすくて、日頃今のお金中心の価値観に言いようのない???を感じていた私には膝を打つ言葉の連続でした。
絵本ではありますが、大人も子供も一読して考えてみる価値のある出版物になっていると思います。
演説は長いので、頑張って要点をかいつまんでみます。
ムカヒ大統領はまず会議の参加者が高い志を持って人類がどんな未来を選ぶべきか真剣に話し合っていることに敬意を表します。
その上で、そのような話し合いをしている自分たちでさえ、本音はもっと豊かになって、便利で裕福な生活が送れる社会を望んでいるのではないかと問いかけます。
そして、もしインドの人たちがドイツの家庭と同じ割合で車を持ったら、酸素はどれだけ残りますか?70億の全人類が贅沢な西洋社会と同じくらいに物を買ったり無駄遣いするための原料はどこにありますか?と問いかけを続けます。
大統領は嘆きます。今の文明は物をたくさん作ってお金を儲けて、儲けたお金で欲しいものを手に入れての繰り返し。物の売り買いは世界中に広がって、人々はできるだけ安く作ってできるだけ高く売るために、どこの国を利用したらよいかという目で世界を眺めるようになりました。
人が儲けるために情け容赦のない競争を繰り広げているなかで、世界が心を一つにして人類の未来を考えることは容易ではありません。目の前にある危機は、地球環境の危機ではなくて私たちの生き方の危機です。
そして大統領は断言しています。
私たちは発展をするためにこの世に生まれてきたわけではなくて、皆幸せになろうと生まれてきたのです。必要以上のものを手に入れようと働きすぎて命を落としては元も子もありません。
飽くことなくものを手に入れものを作り続けることが、今の社会を動かしています。もし動きが止まればお金の流れがとまり、不景気という妖怪に飲み込まれてしまうと恐れますが、実は世界を襲っているのはよく深さの妖怪なのです。
欲深さを満足させるためには耐久性の悪いものを作って、売り続けられるようにしなければなりません。
では、これから私たちはどうしたらよいのか?ムカヒ氏は続けます。
私たちは、今までと違た文化を作るために闘い始める必要があります。でも人類が洞穴に住んでいた時代に戻ろうと言っているのではありません。
古代の賢人エピクロスの「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっとと欲しがることである」という言葉は、人類にとって何が大切なのか教えてくれます。
水不足や環境の悪化が今ある危機の原因ではないのです。本当の原因は私たちが目指してきた幸せの中身にあるのです。
労働時間は昔より格段に短縮されました。それでも買ったもののローンを支払うために、昔よりもずっと長時間働く人たちがいます。払って払って気が付くと私のようなリウマチ持ちの老人になって、人生を終えていく。これが人生のたどり着く先でよいのでしょうか?
ムカヒ大統領は演説の最後を以下のように結びました。
私が話しているのは、とてもシンプルなことです。
社会が発展することが、幸福を損なうものであってはなりません。発展とは人間の幸せの味方でなくてはならないのです。
人と人が幸せな関係を結ぶこと、子供を育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること。。。 こうしたものは人間が生きるためにぎりぎり必要な土台で、発展はこれら土台をつくる味方でなくてはなりません。
人類が幸福であってこそ、よりよい生活ができるのです。
日本にもこんな哲学を持った指導者が欲しい。
国民の生活を人質に取っておいて、今アベノミクスをやめたら悲惨になる、この道しかない!と右肩あがりでなければ未来が無いみたいなウソを平気でつく。そんな安物権力者は早く消費期限が切れて欲しいな。経済ばかりかもっと大事なものまで無責任に壊される前に。
本当は道なんて人の数だけあるはずでしょ。ウソはこまるよキミ。
編 : くさばよしみ
絵 : 中川 学
発行所 : 汐文社
ちょっと変わったタイトルで昨年の3月に発行された新しい絵本ですが、既にご存知の方、もうとっくに買って読んだわと言う方も多いかもしれません。
何度かマスコミで取り上げられて、いまやAMAZONの絵本売上No.1の絵本だそうです。私は職場の人に教えて貰って最近店に仕入れました。
絵本の内容は、2012年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)におけるウルグアイ大統領の演説の紹介です。
大統領の演説なんて難しくてつまらないと決めつけがちですが、この時のウルグアイムカヒ大統領は、給料の大半を貧しい人に寄付して、大統領公邸も公用車も使わず、郊外の小さな農場で奥さんと花や野菜を作りながら大統領をやっている、ちょっと不思議な人でした。

そしてその演説内容はわかりやすくて、日頃今のお金中心の価値観に言いようのない???を感じていた私には膝を打つ言葉の連続でした。
絵本ではありますが、大人も子供も一読して考えてみる価値のある出版物になっていると思います。
演説は長いので、頑張って要点をかいつまんでみます。
ムカヒ大統領はまず会議の参加者が高い志を持って人類がどんな未来を選ぶべきか真剣に話し合っていることに敬意を表します。

その上で、そのような話し合いをしている自分たちでさえ、本音はもっと豊かになって、便利で裕福な生活が送れる社会を望んでいるのではないかと問いかけます。
そして、もしインドの人たちがドイツの家庭と同じ割合で車を持ったら、酸素はどれだけ残りますか?70億の全人類が贅沢な西洋社会と同じくらいに物を買ったり無駄遣いするための原料はどこにありますか?と問いかけを続けます。
大統領は嘆きます。今の文明は物をたくさん作ってお金を儲けて、儲けたお金で欲しいものを手に入れての繰り返し。物の売り買いは世界中に広がって、人々はできるだけ安く作ってできるだけ高く売るために、どこの国を利用したらよいかという目で世界を眺めるようになりました。
人が儲けるために情け容赦のない競争を繰り広げているなかで、世界が心を一つにして人類の未来を考えることは容易ではありません。目の前にある危機は、地球環境の危機ではなくて私たちの生き方の危機です。
そして大統領は断言しています。
私たちは発展をするためにこの世に生まれてきたわけではなくて、皆幸せになろうと生まれてきたのです。必要以上のものを手に入れようと働きすぎて命を落としては元も子もありません。
飽くことなくものを手に入れものを作り続けることが、今の社会を動かしています。もし動きが止まればお金の流れがとまり、不景気という妖怪に飲み込まれてしまうと恐れますが、実は世界を襲っているのはよく深さの妖怪なのです。
欲深さを満足させるためには耐久性の悪いものを作って、売り続けられるようにしなければなりません。
では、これから私たちはどうしたらよいのか?ムカヒ氏は続けます。
私たちは、今までと違た文化を作るために闘い始める必要があります。でも人類が洞穴に住んでいた時代に戻ろうと言っているのではありません。
古代の賢人エピクロスの「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっとと欲しがることである」という言葉は、人類にとって何が大切なのか教えてくれます。
水不足や環境の悪化が今ある危機の原因ではないのです。本当の原因は私たちが目指してきた幸せの中身にあるのです。
労働時間は昔より格段に短縮されました。それでも買ったもののローンを支払うために、昔よりもずっと長時間働く人たちがいます。払って払って気が付くと私のようなリウマチ持ちの老人になって、人生を終えていく。これが人生のたどり着く先でよいのでしょうか?

ムカヒ大統領は演説の最後を以下のように結びました。
私が話しているのは、とてもシンプルなことです。
社会が発展することが、幸福を損なうものであってはなりません。発展とは人間の幸せの味方でなくてはならないのです。

人と人が幸せな関係を結ぶこと、子供を育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること。。。 こうしたものは人間が生きるためにぎりぎり必要な土台で、発展はこれら土台をつくる味方でなくてはなりません。
人類が幸福であってこそ、よりよい生活ができるのです。
日本にもこんな哲学を持った指導者が欲しい。
国民の生活を人質に取っておいて、今アベノミクスをやめたら悲惨になる、この道しかない!と右肩あがりでなければ未来が無いみたいなウソを平気でつく。そんな安物権力者は早く消費期限が切れて欲しいな。経済ばかりかもっと大事なものまで無責任に壊される前に。
本当は道なんて人の数だけあるはずでしょ。ウソはこまるよキミ。
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