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絵本紹介(190) ぶたのしあわせ2015年04月30日 23:48

題名    : ぶたのしあわせ
作     : ヘレン・オクセンバリー
訳     : 矢川 澄子
発行所  : 文化出版局

 今日の絵本はジョン・バーニンガムの奥さんで、自身もたくさんの絵本を手掛けたヘレン・オクセンバリーの1970年代の絵本です。40年以上前のお話しですが、テーマは今でも新鮮です。


   2匹の憂鬱なブタの夫婦、おくさんのベルタとだんなさんのボリスのお話しです。

 2匹のブタは退屈して年中愚痴ばかり。

 餌はたっぷり、豚小屋はほかほか、農園はひろびろ、ひんやりしたどろんこ、昼寝もおしゃべりも好きなだけできる。
 だけどこのままじゃつまらないので、お金やいろいろなものを手に入れて、思いのままの暮らしをしなきゃ、幸せじゃない。


 そんなある日、ボリスがどろんこの中から宝石がざくざくつまった小箱を掘り出したので、2匹は大喜び。

 小箱を持って街に出かけて、銀行で宝石をお金に換えて、服に車に家まで即決で買いそろえてしまいました。


 そして憧れの生活を始めてみましたが、しばらくすると外出先で車が故障してボリスはへとへと。車を置いて歩いて家に帰ると、キッチンの調理器具も故障してベルタも大変。

 それから後、良くないことが次々続いて、とうとう2匹は我慢できなくなって、服も車も家もみんな捨てて裸一貫農場に逃げ戻りました。

 どろんこにぬくぬく寝床に気兼ねの無い生活。これこそ本物のブタの暮らしです。二人は草に寝転んで幸せに眠りました。

 自分が幸せな時は案外自覚できないものですよね。隣の芝生が青く見えて移ってみたら、それまでの自分がいかに幸せだったか初めて気づいて、だけど手遅れで。。。あとは転落の人生が待っていた! とかよく聞きますよね。
 恋愛にも同じことが言えそうなので、家移りに憧れる方はちょっとまったですよ。