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絵本紹介(186) まばたき2015年04月13日 05:28

題名   : まばたき
作     : 稲村 弘
絵     : 酒井 駒子
発行所  : 岩崎書店

 今回ご紹介する絵本は、絵本なんですが言葉はほとんどありません。静寂と一瞬の刹那を表現した絵本です。その表現に酒井駒子さんの絵が惜しげもなく使われていて、なんとも贅沢な絵本です。


 音もなく花の蜜を吸う蝶。
 蝶がまさに飛び立とうとする瞬間と飛び立つ一連の動作に、
 緊張から解放への劇的な変化が見えます。

 今、正午を指した時計。

 針が動いた後永遠にも思える静寂と緊張があって、次の瞬間には鳩が窓から顔を出しました。


 ネズミのおもちゃが動く様子をじっと見つめる猫。

 ネズミを動かすぜんまいの音だけが聞こえてきそうです。
 そしてネズミが猫の前を通り過ぎたと思ったその瞬間、猫はもうネズミを捕まえていました。


 表紙に描かれた少女、みつあみちゃん。
 静かに、ほんの一瞬まばたきをしたら、つぎの瞬間には。。。

 光陰矢の如し。長い年月もまばたきの瞬間の積み重ねだと、改めて感じさせられる絵本でした。