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絵本紹介(293) ちいさいねずみ2016年12月11日 22:11

題名   : ちいさいねずみ
作    : さとう わきこ
発行所 : 偕成社

 今日ご紹介するのは、お月さまをチーズと思ってしまった小さなねずみのお話です。相手はお月様。追いかけても追いかけても捕まえられません。でも、前向きな明るさを無くさなかったちいさいねずみ。ついつい応援したくなっちゃいました。


 家の角からちいさいねずみがお月さんに向かって言いました。
 「お月さん、あんた、チーズでしょ。」
 お月さんはなにも応えず笑っているだけでした。

 「お月さん、あたしとってもお腹が空いて眠れないわ。ちょっぴりでいいからかじらせて。」

   お月さんが家の屋根の端っこにひっかかって「うん」とうなづいたように感じたちいさいねずみは、大急ぎで屋根に登りました。けれどお月さんはもっと高いところで笑っています。
 ちいさいねずみはがっかりしました。

 次の夜、ちいさなネズミはお月さんに梯子を架けようとしましたが、梯子は重くて動かせません。

 雨の日が続いて、次に夜空を見上げた時は、三日月さんが浮かんでいるだけです。それでもちいさなねずみは物置の隅っこで木の根をかじりながらお月さんを待ちました。


 雨上がりの空に、久しぶりにお月さんが姿を現しました。ちいさなねずみは欅の木に登ったり、煙突の上に登ったり、山のてっぺんに行ってみたり、お月さんを追いかけ続けましたが、お月さんは捕まってくれませんでした。


 でも、そんなちいさなねずみの生活にうれしい変化が訪れます。


 この絵本の作者が言いたかったことなのかはわかりませんが、ちいさなねずみのいつでも前向きで明日を信じる姿が大好きです。そして前を向いていたからお月さんはかじれなかったけど、かわりに素晴らしいものを手に入れます。
 人生って、捨てたものじゃないですよね。