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絵本紹介(280) 翻訳できない世界のことば2016年06月26日 23:52

題名   : 翻訳できない世界のことば
作    : エラ・フランシス・サンダース
訳    : 前田まゆみ
発行所 : 創元社

 ここのところお子さん向けの絵本の紹介が続いていましたので、今日は間違いなく大人向けの絵本を紹介いたします。
 世界のいろいろな言語にそんざいする、一言で言い表すのが難しいニュアンスを含んだ言葉が、きれいなイラストと一緒に紹介されているオシャレな絵本です。絵本なのに小話の種本にしたり、行き詰った時の逃避行先の参考にしたり、気に入った言葉にしおりを挟んで贈り物にしたり、いろいろな活用法がありそうなおもしろい一冊です。


 個人的な好みでいいなぁーと思った言葉たちをご紹介しますね。

【抒情的な美しい言葉】
MANGATA(モーンガータ) スウェーデン語。 意味:水面にうつった道のように見える月明かり。
 静かな北欧の海が目に浮かんできます。


FEUILLEMORT(フイユモール) フランス語。 意味:枯葉の様に色が薄れていく。
 経験ないですが、晩秋のパリの朝、プラタナスの並木を足早に歩いていく寒そうな自分が見えたりして。。。

【心を表す言葉】
FORELSKET(フォレルスケット) ノルウェー語。 意味:語れないほど幸福な恋におちている。
 そんな時もあったような、なかったような。。。


SAUDADE(サウダージ) ポルトガル語。 意味:心の中になんとなくずっと持ち続けている、存在しないものへの渇望や、または、愛し失った人やものへの郷愁。
 竹中正義の80年代の曲に、サウダージと言う大好きな曲がありました。物悲しい旋律で、まさしく愛し失った人への郷愁というイメージでした。

【お国柄の言葉】
PISANZAPRA(ピザンザプラ) マレー語。 意味:バナナを食べる時の所要時間。
 わたしにとっては10秒。Ushiさんにとっては7分。このアバウトさが好き。

PRONKUSEMA(ポロンクセマ) フィンランド語。 意味:トナカイが休息なしで、疲れず移動できる距離。
 どれくらいだと思います? 10km? 30km? 100km? 正解は約7.5kmだそうです。 トナカイって、意外とヘタレなんですね。サンタのソリ任せといて大丈夫かね?


【もっともヒットした言葉(個人的感想です)】
DRACHENFUTTER(ドラッヘンフッター) ドイツ語。 意味:直訳すると「龍のえさ」。夫が悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント。
 国も言葉も違っていても、亭主の怖い物はどこでもいっしょなんですね。


 この絵本では全部で52個の言葉が取り上げられています。ご紹介できなかった感動的な言葉、訳されても意味がよく分からない(風習がちがうから?)言葉なんかもあって、世界の広さ、ヒトの多様さを感じさせてくれます。

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