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絵本紹介(281) たんぼレストラン2016年07月03日 17:17

題名   : たんぼレストラン
作    : はやしますみ
発行所 : ひかりのくに

 今回ご紹介する絵本はとっても力強いタッチの絵で里山の生態系を思い出させてくれます。田んぼはお米の生産場であり小生物の生活場でもあり、人工と自然がバランスよくかかわる命のゆりかごなんですね。そんな田んぼの素敵な命の循環を思い出させてくれる一冊です。

 秋にお米の刈り入れが済んだ田んぼは、水が抜かれて、冬の間は誰もいないように見えます。

 でも田んぼの土の中にはミミズやカエル、オケラにヘビにモグラが、春はまだかと待っています。


 春先、トラクターが代搔きを始めると土の中で寝ていた生きものたちが驚いて飛び出してきます。
 すると待ち構えていたサギや猛禽やカラスや鳥たちがすかさず
 「いただきまーす」


 田んぼに水が張られると、冬を卵で過ごしたプランクトンたち、ミジンコ、ホウネンエビ、カブトエビの命が爆発、近くの池からゲンゴロウ、タガメ、みずすましがやってきます。カエルもさっそく卵を産んでオタマジャクシの誕生。あっという間に水中社会の出来上がりです。


 田植えが済んだ頃には用水路を伝って魚たちも田んぼにやってきます。ザリガニ、ドジョウ、メダカにナマズ。プランクトンやオタマジャクシを
 「いただきまーす。」


 ドジョウやザリガニやナマズ、カエルも安心してはいられません。
 田んぼにやって来る鳥たちや陸のハンターたちに見つかると、たちまち立場が逆転して食べられる身に。


 たんぼレストランではヒトの営みのすぐそばに、自然の命の連鎖があります。
 最近は農薬を使わない田んぼが増えたり、いなくなってしまったコウノトリやトキを復活させる取り組みがあったり、里山の大切さが見直されています。
 いつまでも健全なたんぼレストランが残って、小さな生き物たちもヒトと一緒に暮らしていける日本であって欲しいなぁ。

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