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もしかすると。。。2015年04月01日 23:47

 5年ほど前から重い記憶の障害が出て、自立した生活が難しくなった私の母。

 母の記憶障害に気づいた時に、数か所の認知症外来を訪ねて記憶テスト、頭部CT、頭部MRIなど検査を受けましたが、どの検査も年齢相応の劣化以外に異常が見つからず、認知症との診断は下されませんでした。

 でも少し前のことを完全に忘れてしまう(例えば、海外旅行から帰って2週間で、旅行に行ったことを全く忘れてしまいました)し、情緒不安定でちょっとしたことで激昂したり、泣き出したり。報道や書物で見聞きするアルツハイマー病をはじめとする認知症の症状とそっくりでしたので、きっと診断のつかないタイプの認知症なのだろうと考えてきました。
 
 ただ、記憶障害が見つかって5年。アルツハイマー病の場合、早い遅いはあっても病状が進行して、5年も経てば寝たきりになったりするらしいのですが、母の場合は体力は落ちましたが、知性は5年前とあまり変わりません。

 おかしいな、やはりアルツハイマーとは違うけど、ではどんな原因の認知症なのだろうと考えていた頃、突然気絶して転倒したり、泡を吹いて痙攣したりという突発的な症状が出るようになってきました。

 泡を吹いて痙攣すると言えば、良く知られている病気は癲癇。
 そこで癲癇について調べてみたら、失神などの大きな発作以外にも普段見かけた何気ない様子が、実は癲癇の説明に挙げられた症状とそっくりでした。
 そして何より、老人性の癲癇は発作が起きていることが分かりにくく、発作の後はしばしば記憶障害を伴うと書かれていたのです。
 
 確か、人は経験したことを神経細胞同志で回路を作って記憶すると言われていますが、回路がちゃんと出来上がる前に癲癇の嵐に襲われたら、せっかく出来そうだった回路はリセットされて、記憶もすっかり消え去ってしまうでしょう。

 それで、今年初めから母の主治医に頼んで抗癲癇薬を処方してみて貰いました。
 すると、どうやら記憶障害に効いていそうなんです。
 
 最近、会話は普通にかみ合うようになりましたし、よくTVを見るようになって、少し前にニュースで取り上げられていた話題をよく覚えています。感情の起伏もほとんどなくなったように見えます。

 これはもしかすると。。。
 まだ本物かどうかわかりませんが、もしかすると癲癇の治療が、記憶障害を改善してくれる場合があるのかもしれません。どうか本物であって欲しい。

 自分の記憶障害を自覚して悲しんで来た母。
 気が付くのが遅れてゴメンネと心の中で謝りながら、どうぞ少しでも母から不安が取り除かれて行きますようにと祈っています。