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絵本紹介(144) ちいさいおうち2014年11月13日 23:49

題名    : ちいさいおうち
作     : バージニア リー バートン
訳     : 石井桃子
発行所  : 岩波書店

 とても有名なお話しなので、読んだことのある方多いかもしれません。いまさらご紹介でもないかもしれませんが、懐かしいお話、思い出してみて下さい。

 昔々、静かな田舎に小さいきれいなお家がありました。
 この家を建てた人は、自分の孫の孫の、そのまた孫のときまで建っているように、小さいお家をしっかりして丈夫に建てたんです。

 それからしばらくの間、小さいお家は丘の上から周りの景色を眺めて、幸せに暮らしました。

 夜になると小さいお家はお月様を眺め、星を眺めました。
 ずっと遠いところに見える街の明かりを見て、「街ってどんなところだろう。街に住んだらどんな気持ちがするだろう」と思いました。

 時はどんどん経って、街の明かりは前よりも近く、大きく見えます。
 ある日、小さいお家は、目の前を馬車ではない自動車が走っていくのを見ました。その日から自動車はどんどん増えて、馬車は減っていきました。そして、小さいお家の前には、舗装された広い道路が出来上がります。

 すると、小さいお家の前の道路をたくさんの自動車が街まで行ったり来たりするようになり、周りにたくさんのお家が立ち並びました。


 その後も、周りの畑の中に新しい道路が次々できて、大きな家やビルや学校やお店が次々と建てられて、小さいお家はすっかり囲まれてしまいました。

 今ではもう住む人がいなくなった小さいお家の周りは、益々発展して、とうとう小さいお家は高層ビルと鉄道の高架に囲まれて、おんぼろになってしまいました。そして「都会はいやだ。田舎に帰りたい」とつぶやきます。


 ところがある日、通りかかった一人の女の人が小さいお家の前で足を止めました。小さいお家を建てた人の、孫の孫の、そのまた孫にあたる人です。

 さて、大都会にポツンと取り残された小さいお家。いったいどうなってしまうのでしょう。

 孫の孫の、そのまた孫が住める家。と、いうことは150年くらい平気で持つ家ということですね。このお話はアメリカのお話しですが、ヨーロッパなんかでは、築100年くらいのアパートがゴロゴロあって、そこに普通に人が暮らしていたりします。家に対する考え方が、日本とはだいぶ違いますね。