http://apricot-tree.asablo.jp/blog/img/2013/06/17/29f71b.jpg

絵本紹介(143) くらやみこわいよ2014年11月09日 21:23

題名   : くらやみこわいよ
作    : レモニー スニケット
絵    : ジョン クラッセン
訳    : 蜂飼耳
発行所 : 岩崎書店

 誰もが本能的に嫌う暗闇。この絵本では嫌われ者で無機質な暗闇にも、実は命や意思がある考えてみたらと、新たな視点を用意してくれました。そして、真っ暗闇は実は一色に塗りつぶされた世界ではないよと、いろいろな黒を使って教えてくれています。


   幼い男の子のラズロは暗闇を怖いと感じます。
 ラズロは古い大きな家に住んでいます。屋根はきしむし、窓はつるんと工夫がないし、いくつかの階段、それに地下室もある大きな家です。


 ラズロの嫌いな暗闇は、明るい昼間でもクローゼットに隠れていたり、風呂場のカーテンの陰に座っていたり、なかなかあっちに行ってくれません。


 でも大抵の場合、暗闇は地下室にいます。
 洗濯機からも離れた隅の、じっとり湿った箱や、誰も開けない引き出しに、ギュッと自分を押し付けて待っています。

 なにを? 何を待っている?
 夜です。

 夜になると、暗闇は出かけます。ラズロの家や窓からも、外に広がって行くんです。
 朝になると、暗闇はいつもの地下室に戻っています。だからラズロは考えました。

 自分から暗闇のいるところに行ければ、暗闇の方からは来ないかもしれない。

 ところがある夜、ラズロの寝室の足元を照らす電球が切れました。
 そして、来ちゃいました、暗闇が。ラズロの所まで!


   「ラズロ」。
 暗闇は真っ暗な中で呼びます。
「見せたいものがあります」。

 暗闇の声に従って、地下室のずうっと奥まで行ってみるラズロ。
 そこでいったい何を見ることになるのでしょう?
 ラズロは自分のベッドに戻れるのでしょうか?

 ご安心下さい。意外といいやつだったんです、暗闇は。


 いやぁ、暗闇って幾つになっても怖いですね。古い大きな家なんて、暮らすのとても無理です。主人公のラズロ、暗闇が怖いクセに、よく真っ暗な地下室に降りて行けるなぁ。
 今年4月にジョン・クラッセンのトークを聞きましたが、彼はコンピュータで絵を描いているそうです。なので、この作品の黒も、たぶんべったりの黒ではなくて、微妙な色合いを選んでいるのでしょう、とてもきれいで印象に残る黒です。
 今世界からどんどん暗闇が消えているのでしょうね。自分では全く苦手ですが、絶滅してしまう前に、暗闇を守ることも必要かもしれませんね。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://apricot-tree.asablo.jp/blog/2014/11/09/7487403/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。