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絵本紹介(118) いるのいないの2014年08月14日 20:40

【お知らせ】
 8月16日(土)、17日(日)はお休みさせていただきます。

【絵本紹介】
題名   : いるのいないの
作     : 京極 夏彦
絵     : 町田 尚子
編     : 東 雅夫
発行所  : 岩崎書店

 夏休みに因んだ怪談絵本のご紹介。あんまりやっていると気持ち悪がられてお客さんに逃げられてしまうので、今回でいったんお終いです。
 でも、今日の絵本も怖いですよー。なんといっても妖怪研究家としても有名な京極夏彦さんの作ですから。

 小学校高学年の少年は、ある日お婆さんの家で暮らすことになりました。
 お婆さんの家は、木造の古い家で、天井がとても高くて、家の中はちょっと暗い家です。

 大人が梯子を使っても届かないくらい高い天井の上の方には、太い梁が渡されていて、その上に小さな明り取りの窓が付いています。
 でも上の方はとっても暗くて、少年は気になってしまって、つい何度も見上げてしまいます。


 ある日、少年は独りぼっちで梁の上の暗がりを見ていたら、怒った男の顔が、じっと下を見ているのを見つけてしまいます。


 こわい。

 少年は屋外のお婆ちゃんの元に逃げ込んで問いただします。
 「天井の梁のところに 誰かいるよ!」

   「見たのかい。じゃあ、いるんだね。」
お婆ちゃんはのんびりと答えます。

 「あれは誰?」
 「さあ、知らないよ。」 でも「上を見なければこわくないよ。」

 おばあちゃんは見なければ怖くない、何もしないから怖くない、見なければいないのと一緒、と言いますが、

 少年はやはり梁の上を見てしまいます。
 いるかなと思うとみちゃいます。

 そして、みたら。みたらみたら。
 「みたら怖いさ」

   いるからね。


 今ではこんな天井の高ーい家とか、暗がりがある家は希少価値でしょうね。
 でも私が子供の頃は、家のあちこちに暗がりがあって、そこに何か気配を感じて、怖いけど思い切って振り返ってみたり、明るい外に逃げ出したり。
 だからこのお話のドキドキする怖さがとてもよくわかりました。
 しかも大人は子供怖さなんかにちっとも取り合ってくれません。
 物語の少年に感情移入して、そうそう怖いんだよねー,、見ちゃうんだよねーと読み進めると、最後のページに爆弾が仕掛けてありました。

 うわぁー、こわいですー!心臓に良くない。
怖がりの方、ちびり確実。