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絵本紹介(102) ミシンのうた2014年06月15日 22:32

題名    : ミシンのうた
作     : こみねゆら
出版社  : 講談社

 いつも繊細な絵とお話しで乙女心を描くこみねゆらさんが今年2月に出した最新絵本のご紹介です。

 主人公は洋裁店で見習いで働く女の子。
 仕事は一日中お使いや届け物に掃除。ショーウインドウを拭く度に中に飾られた古いミシンが気になります。
 「誰が使っていたのだろう。」「きっといい音がする。」
 女の子はしばらくミシンのことばかり考えて過ごします。


 ある満月の夜、女の子はミシンに呼ばれたような気がして、屋根裏の自分の部屋からお店に降りました。ミシンのウインドミルに触れるとミシンはカタカタカタと歌いだし、いつの間にか見習いの女の子は知らない村の情景を思い浮かべながら、ひとりでに布を切って大きな服を縫い上げてしまいました。


 翌朝、店のご主人は見習いの女の子が勝手に大きな服を縫ってしまったことを怒りますが、大きな服はすぐにお客さんが来て買っていってくれました。


 次の満月の晩も、その次の満月の晩も、またその次も女の子はミシンに誘われて服を作って、それが飛ぶように売れて、お店は繁盛しますが。。。

   こみねゆらさんの描くおしゃれで柔らかい絵と不思議な物語が、昔々の外国のおとぎ話のようなエキゾチックな雰囲気に浸らせてくれます。  こみねさんご自身、人形作家として足踏みミシンを愛用されているようで、きっと身近な体験から生まれた物語なのでしょうね。  私も小学校の家庭科では足踏みミシンを使いましたが、いつも逆回転との戦いでした。だから途中から電動ミシンに代わった時は、苦悩から解放された修行僧のような晴れやかな気持ちになりましたが、そんなこと言っていたらこんな素敵な物語は作れませんね。