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絵本紹介(98) 古くて新しい椅子2014年06月01日 23:50

題名   : 古くて新しい椅子
文    : 中嶋浩郎
絵    : パラオ・ボルドリーニ
出版社 : 福音館書店

 今回ご紹介する絵本は、福音館書店が子供向けに科学、生活、歴史などを掘り下げて解説している出している月刊誌「たくさんのふしぎ」の傑作集の中の一冊です。
 日本ではすっかり忘れられてしまったものを大切に扱う生活や精神、伝統の職人の仕事が物語調に紹介されていて、大人でも読むと得した気分になれる絵本です。

イタリアのフィレンツェに住むマルコ少年は、子供用の机が小さくなったので大きな勉強机を貰えることになりました。
 新しい机を買ってもらえると思ったマルコでしたが、お父さんは倉庫からひいおじいさんの頃から使われてきたボロボロの机と椅子を持ち出してきました。


 こんなにおんぼろじゃあ使えないというマルコに、お父さんは家具修理屋さんに頼めば新品と同じくらいきれいになると言って、さっそく壊れかけた机と椅子を家具修理職人の元に持ち込みました。


 かつてダヴィンチが、ミケランジェロが、ラファエロが暮らしたフィレンツェは芸術の街、ルネサンスの街として有名ですが、職人の街でもあって、家具修理職人のパオロさんは、椅子の藁張を近くに住むアンナおばあさんに、無くなった引き出しの取っ手づくりを金具職人のランベルトさんに頼んで、自分は机の足や引き出しを丁寧に直して行きます。


 フィレンツェの家具職人たちの連携で、数日もするとマルコの机と椅子は新品と見違えるほど新しくなりました。古くて新しい机は、修理前にどこが壊れてどの引き出しがなくなっていたのか全然わからなくなっていました。



   なんかいかにもイタリアという印象のお話しでした。100年なんて古いうちに入らない。古くなっても修理する職人さんがいるので、ちょっと修理すれば新品みたいに蘇る。フィレンツェは今でもまだこんな伝統が息づいているんでしょうかね。
 ポンテベッキオやドォモーだけでないフィレンツェの見どころを教わって、いつかまた訪ねてみたくなりました。

第一回アプリコットBOXライヴから2014年06月02日 23:32

 先週このブログでお知らせしていましたが、昨日6月1日(日)の14時から1時間くらい音楽と詩のライヴを行いました。

   初めてのイベントでどれくらいの人が興味を持ってくれるかわからず、企画して下さった詩人の野本さんとの連携をうまく取れなかったりしたので、スターと時刻が来ても会場はかなりゆとり状態です。

   そんな状況のなかで、手回しオルゴールと歌のユニット「かうは」さん(歌のかなねりさん、ギターと歌のうーたんさん、手回しオルゴールのはまじさんの3人組)のとても澄んだハーモニーとオルゴールの優しい音色でライヴが始まりました。


 大げさでなく、途端に私、鳥肌たちました。
 かなねりさん、うーたんさんの声がとても優しくて澄んでいて、素朴で、きれいで。。。 うまく言葉で表せない。
 きれいな声のツインボーカルを、はまじさんのオルゴールや鈴でまとめあげて、ユニットの完成度が素晴らしかった。

 先日ご紹介した絵本「くさをはむ」にメロディーをつけて披露して下さったり、うーたんさん、かなねりさんのオリジナル曲を披露して下さったり、聞き惚れて、つい胸が熱くなってウルルときてしまっている間にあっという間に30分が過ぎてしまいました。

 後半は詩人の野本さんによる自作の詩のライヴ。

 詩の朗読ライヴを聞いたことが無かった私は、声の抑揚大きく、身振り手振りの激しい、舞台演劇のようなものを想像していました。
 でも野本さんのスタイルは、むしろ抑えて抑えて。 静かに観客に語り掛けます。
 そして合間、合間に質疑応答。

 全然構えることなく、和気あいあいの雰囲気で詩を披露していきました。なるほど、こういうスタイルの詩の朗読も十分ありですね。

 初めてのライヴ、思っていた以上にパフォーマーと観客(少なかったけど)が一体になれて、ただの絵本屋の空間がいつもと全然違う雰囲気に変身して面白かったです。

 「かうは」の皆さん、野本さん、せっかく素敵な音楽と詩を披露して下さったのに、もっとたくさんのお客様に届けることが出来なくてゴメンナサイ。 でもまた今度も是非やりましょう。 ありがとうございました。

健診結果2014年06月04日 23:33

 5月半ばに受けた健診の結果が戻ってきて、今年もめでたくBMIと腹囲でメタボ野郎と判定されてしまいました。とほほほ。
 この結果には覚悟ができていたものの、加えて今年は胸部レントゲンで炎症性変化の疑いありで再検とのお達しでした。

 炎症性変化って、咳も出ないし胸も痛くないし、なんかのまちがいでしょうーと思いつつも、小心者だから最悪を考えてしまいます。
 そんなに長生きに興味はないけど、もし癌が初期で見つかったら治療しない手は無いよな~。でも手術も抗がん剤も怖いなーなんて考えながら、健診を受けた病院で医師に画像確認してもらいました。
 「あ~、これくらいの陰、歳とってくるとよく出るんですよ~。お客さんの場合ちょと早いけど。自覚症状ないでしょう?タバコ吸わないんでしょ?」
 「心配ならCT検査って手があるけど、ま~様子見でいいと思いますよ~。どうしますぅ?」

 と、言うことで小心者の最悪の場合の決意などなかったことになって、無罪放免されました。
 
 ついでに健診のときに採った胃粘膜生検でのピロリ菌検査も「ピロリ菌はいませーん。おめでとー!!」とこちらも無罪放免。
 確か日本人の50代の8割がピロリ菌陽性だったはずだから、いないということにびっくりしました。毎日ヨーグルト(明治のLB51ではないけど)食べてるからかな?それともピロリも宝くじもはずれの神様が付いているのかな?

 とにかく、またとりあえず健康に1年スタートできそうです。ほっ。
 健診、大事ですよ。 面倒がらずに受けましょうーね。


「水泳ダイエット宣言」
 肥満度が深刻になったので、30週で10kgを目標に水泳でダイエットに挑戦することにしました。
 途中で挫折しないように、絵本屋と何の関係もありませんがブログで減量の進捗を勝手に報告させて頂きます。

 5月26日(月)から ただいま2週目。
  泳いだ距離累積 3.85km
  体重減の累積  1.0kg

 励ましのおまんじゅうは謹んで辞退致します。

絵本紹介(99) IN THE FOREST2014年06月05日 23:58

題名   : IN THE FOREST
作    : MARIE HALL ETS
出版社 : Penguin Books

 邦題「もりのなか」で日本でも有名な絵本の原書です。
 男の子が森の中でいろいろな動物と巡り合っていく物語ですが、色の無いモノクロの絵が柔らかくて、どんな動物がいても不思議ではなさそうな深くて静かな森をイメージさせてくれました。

 ぼくは紙の帽子をかぶって、新しいラッパを持って森に散歩に行きました。


 すると大きなライオンの昼寝に出会いますが、ライオンはラッパの音で目覚めて、「どこ行くの?たてがみとかしたら僕も一緒にいくよ。」


 またしばらく歩いて行くと、小象が2頭水浴びをしていて、「ちょっと待って!」 2頭は急いで耳を乾かして服を着て僕についてきました。


 ぼくが森の中を歩いていると、その後もヒグマ、カンガルー、コウノトリ、猿、ウサギと出会って、みんなで隊列を組んで、森の中を楽器や鳴き声や手をたたいてパレードしました。


 パレードの次はみんなでおやつを食べて、ゲームをして、最後はかくれんぼ。ぼくがオニになって数え終わって目を開けると、動物たちは誰もいません。代わりにぼくを探しに来たお父さん見っけ。


   ぼくは動物たちに、「今度また森に来た時に見つけるから、どこにもいかないでねー。」と言って、おとうさんの肩車で家に帰りました。


 ストーリーはこんな感じで子どもの頃自分も想像の世界でよく遊んでいたことを思い出させてくれました。
 原文は When I went for a walk in the forest. のフレーズが繰り返し登場して、詩のようなリズムで読み聞かせたり、楽しいメロディをつけて歌うことができそうです。
 ベッドに入ってお母さんやお父さんの抑揚のあるささやきや耳元の優しいメロディーを聴きながら、モノトーンの絵を見ていると、いつの間にか子どもは眠りに落ちていく。子守唄のように優しい絵本です。

 翻訳絵本をご存じの方も、是非一度原文でも読んでみてください。

街が変わる2014年06月06日 23:40

 10年前くらいからTVや新聞で盛んに言われる日本社会の高齢化。

 人口ピラミッドなる図を見せられて、「この団塊世代がこれから高齢者の仲間入りをして、子供の出生数はへって。。。」と説明されると、そうか、そうなのかと理解しているつもりでいましたが、それほど実感を伴って居ませんでした。

 でもここに来て急に、「これって高齢化と関係あるのかな?」と思わされる出来事によく遭遇していることに気づきました。

 例えば朝9時前くらいの住宅街。以前よりもデイサービスのお迎え車両と出会う回数が2倍、3倍に増えたように思います。

 例えば雨の日に通勤に使っているJRの駅と駅を結ぶ路線バス。途中のバス停から乗り込んでくる乗客は、無料パスを持ったお年寄りが8割を占めていて、優先席をお年寄りがお年寄りに譲る状態。

 例えば身近のセブンイレブンで取り扱う小口野菜の種類が増えていたり、一人用お惣菜が目だったり、和菓子の品ぞろえが充実したり。頼めば配達もしてくれるみたいです。

 例えば近所の住宅地を抜ける道沿いに最近開店が相次いだお店。どんなお店ができたのかと期待したら、整骨院、接骨院、小規模スーパー。 以前ならこんな住宅街じゃお客が集まらないのではと思ったけど、そうかぁお年寄りにしてみれば、駅前より車無しでもいける住まいの近くの方がずっと便利。

 極めつけは同じ道沿いで見つけた「交流電磁健康マッサージ器無料体験センター」。 殺風景な事務所風店舗とボール紙で作った看板から、きっと無料とか健康とかのキーワードでお年寄り集めて、うまいこと高額商品買わせて、しばらくしたらドロンの商売やってる連中なんだろうなー。ひどいなー。誰もだまされなきゃいいけど。。。

 数日前、虎の門ヒルズ完成のニュースと、森ビルが2020年オリンピックに向けた更なる都心再開発を計画していることを新聞で知りました。
 なんか都心は盛り上がっているけど、身近で肌で感じる街の変化と、政治と大企業が進めようとしている街の変化があまりに違っていて、キツネにつままれたようです。

 歳とったらピカピカのなんとかヒルズは気おくれしそう。
 果たしてオリンピックは本当に起死回生の起爆剤になるんでしょうかねぇ。