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絵本紹介(78) おとうさんのちず2014年03月20日 23:34

題名   : おとうさんのちず
作    : ユリ シュルヴィッツ
訳    : さくま ゆみこ
出版社 : あすなろ書房

 戦争で街を焼かれて、すべてを失い命からがら逃げだしたぼくと家族は、遠い遠い東の国までやってきました。

 夏はとても暑いし、冬はとても寒いところで、家は泥やわらや、ラクダの糞でできていて、周りには砂埃が立つ平原が広がっていました。

 ぼくたちはよその夫婦と一緒に小さな部屋で暮らして、夜は土を固めた床の上で眠りました。


 ある日のこと、市場にパンを買いに出かけたお父さんは、パンを買わずに地図を買って帰ってきました。そのおかげで僕たちは夕食抜きで寝なければならなくなったので、僕はおとうさんを恨みます。

 でも次の日おとうさんが壁一面に地図を貼ると、暗い部屋に色があふれました。

 地図のおかげで狭い部屋にいても、僕のこころはどこへでも飛んでいけるようになって、お父さんを許せない気持ちはなくなりました。
 それからの僕は、ひもじさも貧しさも忘れて、はるか遠くで魔法の時間を過ごすことができるようになったそうです。

この物語は第二次大戦の時ポーランドのワルシャワから脱出して、今のカザフスタンまで逃げ延びた作者の体験が元になっている実話だそうです。
 本当は戦争なんか起きずに生まれた故郷で平和に暮らせたら一番良かったのでしょうが、たとえつらい境遇に追い込まれても、未来への夢を持つことで幸せな明日を信じて強く生きてこられたことを教えてくれる物語です。

 ひもじい家族を抱えながら、一切れのパンでは食べても飢えは収まらないけど地図は夢を与えてくれると、パンを買わずに地図を買ったお父さん。父親としてカッコイイです。

 いつでも夢を持っていたいと思いますが、でも自分ならきっとひもじさに負けて食料買ってしまだろうなぁ。もっと大きくならなきゃ。

お知らせ: 明日から3日間営業予定です。休みに退屈したら遊びに来てみて下さいねー。