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絵本紹介(77) どうぶつがすき2014年03月16日 17:30

題名  : どうぶつがすき
作    : パトリック マクドナルド
訳    : なかがわ ちひろ
出版社 : あすなろ書房

 ジェーンは外で遊ぶのが大好きな女の子。どこへ行くのもおとうさんから貰ったチンパンジーのぬいぐるみジュビリーといっしょです。

 外でジェーンは小鳥が雛を育てたり、クモが巣を張ったり、リスがおいかけっこする様子を飽きずに見つめていました。

 庭で見つけた花や虫や動物のことを本で読んだり調べたりするうちに、ジェーンはどんどん生きもののことに詳しくなりました。


 いつしかジェーンはターザンみたいにアフリカの森に住んで、たくさんの動物たちと仲良くなって、困っている動物がいたら助けてあげようと思うようになりました。

 そしてその願いを眠る前にお祈りするようにしました。
 毎晩、毎晩。何年も続けて。

 すると、ある朝目覚めるとジェーンの夢はかなったのです。


 この物語は、チンパンジーも道具を作ってそれを使うことを、世界で初めて発見した動物行動学者のジェーン・グドール博士の子供時代のお話しです。
 自分が好きなことに夢中になって、皆からそんな夢叶うわけないと笑われてもあきらめなかったジェーンは、いつか本当に夢をかなえます。

   絵本の巻末には、ジェーンが12歳の時に友人と結成したアリゲータークラブで、一人で発行し続けた会報の一部が載っているのですが、とても子供が描いたとは思えない動物たちのスケッチと科学的な解説が圧巻です。ほんとうによく観察して理解していなければ描けない絵ばかりです。

 恥ずかしながら私も大昔動物学者を目指す教育を受けましたが、その入り口では来る日も来る日も退屈な顕微鏡標本のスケッチを課題として与えられました。当時、「こんなの写真撮ればいいじゃん」と全然真面目に課題に取り組みませんでしたが、要は生物学(あるいは科学全般)の基本はとにかく丁寧な観察にあるということを学ばせたかったのだとずいぶん時間が経ってから気づきました。

 やっぱり一流のプロフェッショナルには一つのことを思い続けて見つめ続ける強い気持ちが必要ですね。

 小保方さんも、せっかく人が見落としていた現象に気づいて少しずつ階段上って周りに信じてもらえるようになったんだから、最後で急ぎすぎて都合の良い文書や写真集めて論文にするべきではなかったなぁー。(彼女の擁護ではありませんが、写真の軽い修整とか都合の良い統計処理とか、ままあると耳にする世界です。ただ、Natureクラスの論文でそんな小手先のズルが通用すると本気で思っていたの?)  でもまだ若いんだし優秀なんだから今回の失敗をバネにして、また世界から信用してもらえるように今度こそ一つずつ成果を積み上げていって欲しいものです。