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絵本紹介(30) にぐるまひいて2013年09月08日 16:02

にぐるまひいて
題名    : にぐるまひいて
文      : ドナルド・ホール
絵      : バーバラ・クーニー
訳      : もき かずこ
出版社   : ほるぷ出版

 今回ご紹介する絵本は、19世紀初めのアメリカ・ニューイングランド地方の、農夫一家のつましい暮らしをバーバラ・クーニーが優しいタッチで描いた物語です。

 木々の葉が赤や黄色に染まる10月。とうさんは荷車に牛をつなぎます。それから一家みんなで、この1年間にみんなが作り育てたものを、なにもかも荷車に積み込みました。
荷車に売り物を積み込む


 とうさんが刈り取った羊の毛。その毛をかあさんが紡いで織ったショール。娘が編んだ手袋。息子が作ったシラカバの箒。
畑でつくったジャガイモ、リンゴ、ハチミツ、ハチの巣。
 カエデの樹液を煮詰めてつくった砂糖。ガチョウの羽毛。

 なにもかもを荷車に乗せて、とうさんは牛を引いて10日がかりでポーツマスの市場に向かいます。
ポーツマスの市場


 とうさんは市場で荷車の中身を全部売って、入れ物の空き箱や空き袋も売って、荷車も売って、最後に牛に「元気でな」とキスをして売りました。
とうさんの買い物


 ぜーんぶを売ったお金を持って、とうさんは市場で鉄の鍋と、娘に刺繍箱と、息子にナイフと、みんなにはっかキャンディを買って、また何日もかけて家族が待つ家に帰ります。

 とうさんが家に戻ると、家族みんなでさっそくふゆの間の仕事に取りかかります。とうさんは若牛を荷車につなぐための手綱とクビキを、かあさんは亜麻の繊維でリネンルを織って、娘はそのリンネルに刺繍をして、息子は新しいナイフでシラカバから箒をつくります。

そして1日の仕事が終わると、みんなで暖炉の前で、はっかキャンディーを一つずつなめました。
3月のカエデ樹液集め


   遠い昔大好きだった「大草原の小さな家」でも、冬になる前にとうさんがマンケートの街まで農作物や製材を売りに行く話がありましたが、なんかこういう古きアメリカの農夫の生き方には惹かれてしまいます。

 自給自足で家族みんなが助け合って、みんな勤勉で、物を大切にして、つつましくて。
人の暮らしって、本当はこれで十分なはずなんですよね。
いつもカッコイイ車に憧れて、1年中イチゴが食べられて、3分遅れの電車にイライラして、映画館でもメールが届いていないか気になって、私たちの生活、楽で豊かになったの?と考えさせられてしまいます。

 「大草原の小さな家」では実直でかっこいいとうさんが、暖炉の前で見事にフィドルを弾いて、かあさんや娘たちが踊って、実に楽しそうで、「いいなー」っていつも憧れていたのに、結局食べてばかりでおなかの大きなオジサンになってしまいました。
あーあ。

コメント

_ 軽井沢のおなかの大きなオジサン2 ― 2013年09月08日 17:27

あーあ。同感です。(=゚ω゚)ノ

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