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絵本紹介(20)2013年08月04日 16:37

サウスポー
題名   : サウスポー
文    : ジュディス ヴィオースト
絵    : はた こうしろう
訳    : 金原 瑞人
出版社 : 文溪堂

 この絵本は2011年初版なので、比較的新しい本です。ローティーンのかわいらしい恋の行方が、甘酸っぱいお話です。

 リチャードとジャネットはちょっと前まで大の仲良し。それが些細なことから仲たがい。些細なこととは、リチャードがキャプテンの野球チームに、ジャネットを入れてあげないこと。 リチャードとしてはキャプテンという立場上、慣例を破って女の子をチームに入れるわけには行きません。ジャネットはそういう男の子のバカみたいな見栄が、頭に来ているようです。

 そして、ジャネットがリチャードにメモを押し付ける場面から、お話が始まります。
ジャネット

 【リチャードへ
  あんたのたんじょう日パーティー、よんでくれなくていいからね。
  あたし、いかないから。それから、ディズニーランドのトレーナー、かえして。こないだ、かしたげたやつ。 <中略> もと友だちのジャネット
 P.S. こんど、はいしゃに行ったら20本くらい虫歯あるよ、きっと。】

リチャード

 【ジャネットへ 
  ださいディズニーランドのトレーナー、かえせっていうんなら、かえすよ。 そのかわり、ぼくのマンガ、かえしてくれよな。 まだ読み終わってなくても。 <中略> もと友だちのリチャード
  P.S. こんどの健康しんだんで、ハショーフーの注射されるぞ、きっと。】

 こんな感じで二人は憎まれ口を書いたメモの応酬をします。
 ヒートアップしすぎてお互いに言ってはいけない言葉まで。そしてお互いに傷ついて、互いの大事さを再び認識し直します。

 最初のケンカ状態のメモのやりとりがとてもおかしくて、そのあとお互いを気遣いながら、少しずつ妥協点を探っていくふたり。
 でも結局ジャネットの方が少し優勢なようで、リチャードは譲歩に譲歩を重ねた感じです。 最後はほほえましいハッピーエンドですよ。
 なんか、我が家の日常を見ているようで、リチャード頑張れと応援したんですが。。。やっぱりジャネットにしてやられちゃいました。

 ところどころ、原作の英語メモが入っていて、金原瑞人さんの訳の素晴らしさが垣間見えます。
 はたこうしろうさんのイラストも、イメージの中のアメリカンスクール(アメリカの学校)そのもので、ジャネットがかわいらしい。

 大昔、マーク・レスターとトレイシー・ハイドのMelodyで、ガイジンの小学生のおませな恋に驚き、憧れたりした時とおんなじように、「いいなー。こんな十代過ごしてみたかったなー。」と、いい年してやっぱり憧れちゃいました。
Happy End