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絵本紹介(18)2013年07月28日 17:13

題名   : アンジュール ある犬の物語
絵     : ガブリエル バンサン
出版社  : ブックローン出版

 今日ご紹介する絵本はタイトル以外文字が全くありません。
 ベルギーの絵本作家、ガブリエル・バンサンの卓越したデッサン力で、絵だけで世界中の誰が見ても理解できる物語が展開します。

捨てられて

郊外を走る車の窓から、突然犬が放り出される絵から物語が始まります。

必死に後を追う

 走り去る車の後を全速で追いかける犬。タイトルのアンジュールはおそらくこの犬の名前なのでしょう。

飼い主の車を探す

 自分が投げ出された車を見失っても、まだそれらしい車を探す犬。

捨てられたことを悟る

 やがて捨てられたという自分の運命を悟ります。

さまよう

 荒野を彷徨い、遠くに街を見つけた犬。人のぬくもりを求めて街を歩きます。

街をさまよう

 でも街は犬を優しく迎えてはくれません。

希望

 再びぬくもりを求めて荒野を行く犬。その先に立つひとりの少年と目が合います。

 期待と不安を併せ持って少年に近づく犬。

幸せの予感

 よかった。どうやら少年は犬を旅の道連れに選んだようです。

 冒頭でお伝えしたようにこの絵本には説明が一切ありません。ですから、物語はこの絵本を開いた人それぞれ、百人百様です。そしてラフなデッサンなのに細部まで表現されているので、見直すと、最初に見た時には気が付かなかった犬の表情やしぐさ、感情の移り変わりを再発見したりします。

 目は口ほどに物を言うと言いますが、絵は時に文章より雄弁なんですね。