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おみそれ致しました。2013年07月23日 19:11

 先日、中野駅始発の総武線津田沼行きに乗った時の話です。

 私がホームに上がると、ちょうど新宿方面からの中野どまりの総武線が到着して、乗客がたくさん降りてきました。その電車は今度は中野発津田沼行きの電車になって、折り返し運転をします。
 私はまだほとんど人が乗っていない電車に乗り込み、シートに腰を下ろして「ああ座れた。涼しー。」とほっとしていました。

 私が座ったシートからドアふたつぶん離れたあたりに夫婦と子供ひとりの親子連れらしい人影があり、旦那さんと奥さんがホームを見ながら、中国語っぽい言葉でやや大きな声で何か言い合っています。
 ちょっとだけ注意が向いて、「ははぁー、中野は初めてで、街の様子が珍しいいんだろうな。」くらいに思って、あとは気持ちが他に移っていました。

 それより、ホームを買い物カートを引いて歩く、80歳くらいの小柄なお婆さんの姿に目が。おばあさんはホームで新聞・雑誌用のごみ箱を覗いて、中に雑誌が無いことを認めると、今度は電車に乗り込んできて、網棚を見上げながら私の前を通過していきました。

 「ああ、雑誌を集めて古雑誌屋に売る商売をしている人だー。」
 「雑誌集めのおじさんは時々みたけど、おばあさんははじめてだなー。」 「結構年なのに、食べていけるのかなー。」
 などとぼーと考えていると、

 件の中国語の親子の前まで来たお婆さんが、いきなり、「ほえあゆぅごぅ」と夫婦に向かって話しかけました。
 夫婦: 「?」
 お婆さん:「ホエアユーゴー」
 夫婦: 「!! ミタカ」
 お婆さん:「ディストレイン イズノットゴー ミタカ。」「オンリーゴーバック。」 「チェインジ トレイン。」

 うわっ、マジですか? お婆さん英語で外国人にこの電車が折り返し運転であること教えてる。
 しかも聞かれたわけじゃなくて、不安そうな夫婦を見てすぐに、終点と気づかずに乗り続けているんだと事情察して。
 英語の発音、全然きれいじゃないけど、言うべきこと要点押えて、ちゃんと夫婦に伝わってる。
 スゲー、かっこいい!

 そうなんです。ヤミで廃品回収している結構な歳のお婆さんが、、ごく自然にさらりと外国人の手助けをしてしまったのです。

 よく職業に貴賤は無いと言いますが、廃品回収のお婆さんが英語話すなんて、ふつう想像できます?
 英語の使い方から、学校で教わったというより、何か外国人相手の仕事で培った(たとえばバックパッカー向け旅館のおかみさんとか、外国人相手のスナックのママとか。)実践英語っていう感じでした。

 きっとこういう風景が当たり前になることが、東京の国際都市化なんでしょうね。
 最近、政府が成長戦略の一環として、英語教育に力を入れ始めて、小学校からの英語必修とか、高校の英語授業は英語で、とか頑張ってますね。 それはそれで何もやらないより日本人が英語をしゃべれる助けになる場合もあるのでしょうね。
 でも、学校の教科にして点数付けてしまうと、ぜんぜん面白くなくなるし、間違ったら恥ずかしい、わからないとバカだと思われる、と、逃げ腰になっちゃうことって、ありません?

 それより、言葉なんて所詮コミニュケーションの道具で、意志が伝われば何でもありよと開き直ったら、今だって相当な数の大人が「英語しゃべれる人」ってことになりそうに思うんです。

 シンガポールでは独特の発音、独特の言い回しの英語が市民権を得ていて、シンギッシュ(シンガポール+イングリッシュ)と呼ばれているとか。

 いっそのこと、日本でもジャングィッシュを作りだしちゃったら気楽になるかもしれませんね。

 「ディス トレイン ね、 ノー ミタカ なの。 ユー たち トレイン チェンジ しなよ。」

 あれっ? ジャニーさん?