http://apricot-tree.asablo.jp/blog/img/2013/06/17/29f71b.jpg

隠田渓谷2013年06月19日 22:16

 「あぷりこっとつりー」がある裏原あたり。原宿駅から表参道や竹下通りを下って、青山に向けて登り始める、ちょうどすり鉢の底のような場所になります。

 真偽のほど確かめていませんが、大昔中学校で理科の先生から、裏原あたりは国土地理院の地形図では「隠田渓谷(おんでんけいこく)」と名付けられていますと教わりました。(ねっ、ムロイ先生)

 渓谷と言うと、23区内では「等々力渓谷」、郊外では「秋川渓谷」など、清流と木々が鬱蒼と茂る崖のイメージですが、裏原のどこに清流が?

 あるんです。いや、あったんですね。

 今では個性的なブティックや古着屋が立ち並ぶキャットストリートですが、元は隠田川という川が流れていて、地名も隠田。
 江戸時代末期、隠田一帯はあの有名な葛飾北斎の富嶽三十六景に「隠田の水車」として描かれた、のどかな田園地帯だったようです。
 それから、昔は学校で必ず歌わされた「春の小川」のモデルにもなったとか。

 そんな清流隠田川も、昭和の高度成長期になってあたりの下水が流れ込むようになると、どぶ川に成り果てて(記憶に残っています)、東京オリンピック前に汚いものを外国人の目から隠すように、蓋がかぶされて暗渠になったとか。こうしてキャットストリートができました。

 隠田川は下流では渋谷川と呼ばれて旧東急渋谷駅付近で表に顔を出しますが、上流がどこから来るのかずっと不思議でした。でも去年くらいにNHKで放送されたブラタモリで、隠田川の水源は実は新宿御苑の池だということがわかり、へえーっと感心したものです。

 竹下通り南側のブラームスの小径は、かつて明治神宮の池から隠田川まで続く小川だった様ですし、地下鉄千代田線が作られる以前、表参道ヒルズ裏の神宮前小学校では、結構な量の地下水が湧いていました。
 なので、今は地下でひっそり息を潜めている隠田川も、かつては両側の丘からしみ出る水を集めて、水車を回せるくらい水量豊かな川だったんでしょうね。

 今、キャットストリートにきれいなせせらぎが復活したら、もっと憩える素敵な街になりそうですが、ちょっと無理かな。

 次に原宿に彼女、彼氏連れで遊びに来られた時、ちょっとキャットストリートのうんちく、語っちゃってください。