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絵本紹介(251) せかいのはてってどこですか?2015年12月25日 23:59

題名   : せかいのはてってどこですか?
作     : アルビン トゥレッセルト
絵     : ロジャー デュボアザン
訳     : 三木 卓
発行所  : 童話館出版

 今日ご紹介する絵本は初版が20年くらい前のちょっと古い本ですが、お話も絵もちっとも古くない。いまでも変わらぬ人気の絵本です。


 井戸の底の水たまりの一匹のあおがえるが住んでいました。


 独りぼっちでしたが、井戸の底は深くてひんやりして苔が生えて、あおがえるにはぴったりでした。
 夜になるとお月様が井戸をのぞき込んでウインクしてくれるし、小さなハエや虫が飛び込んでくるので食べるものにも困りません。
 あおがえるは井戸の外の世界がどうなっているのか知りませんでしたが、この井戸が世界の全部だと思っていました。


 ある時、井戸の水が全部涸れて無くなってしまいました。虫もやって来ないので、食べ物にも困ります。
 そこであおがえるは決心して井戸の壁をよじ登って行きました。

 井戸のてっぺんに着くと、どうでしょう。そこには風に揺れる木々や、一面の黄色いヒナギクの花があります。
 あおがえるはびっくりして目をぱちくりさせて、世界の端てに来てしまったんだと思いました。


 あおがえるはちょっと世界の端てを見物してみることにしました。

 牧場でメウシと出会い、沼ではクロツグミ達の中に入り込みました。メウシもクロツグミたちもあおがえるにここは世界の端てではなくて、世界はもっと大きいことを教えてくれました。


 森ではシカ、キツネ、リス、クマと会って、動物たちの住む森がとても素晴らしい世界だと言いました。

 やがて雨が降り出して、自分の棲んでいた井戸にも水たまりが戻って来るだろうと思いついたあおがえるでしたが、井戸の底に独りぼっちでいるよりも、外の世界で暮らす方がもっと幸せになれると気づいたのでした。


 なんかとても教訓的なお話ですね。
 人間誰でもピタッとはまり込める居心地よい空間を見つけると、そこでまったりのんびり暮らしたくなりますよね。でもその心地よい環境が永遠に続くとは限らない。なにかの原因で環境ががらっと変わってしまうかもしれません。
 そんな時変わってしまった環境を嘆いてやさぐれていても幸せにはなれない。ヒトのせいにしていても何も始まらない。
 これ以上素敵な場所は無いと思っていたのに、仕方なく外に出てみたら、世界は意外と広くて、刺激的で、出会う人は優しくて、目からウロコということもありますよね。

   絵本の中だけの話とあおがえるをバカにすることなかれ。大事なのは幸せになりたい気持ちを忘れないことかもしれませんよ。