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絵本紹介(237) もりのこびとたち2015年10月18日 23:32

題名   : もりのこびとたち
作     : エルサ ベスコフ
訳     : 大塚 勇三

 スウェーデンの人気の絵本作家、エルサ・ベルサコフの描く美しい北欧の森の世界です。北欧の森には本当に小人や妖精やトロルが住んでいるのじゃないかと錯覚してしまう絵本です。


 深い深い森の奥の松の木の根元には、小人の家族が住んでいます。 おとうさん、おかあさん、それに4人の子供たちです。子供たちはみんな白い点のある赤い帽子をかぶっているので、もし人間や怖い生きものが来ても、しゃがんでじっとしているとキノコと間違われて安全です。


 子供たちは、松の木の上に昇ってリスの子供たちと遊んだり、池のそばでカエルと跳びっこ、コウモリの背中で空を飛んだり、とても楽しく暮らしています。

 夏の間楽しく遊んでいた子供たちも、秋が来ると忙しい仕事を手伝います。
 大きな森のあちこちから、木の実、草の実、キノコを集めて来てお日様に当てて乾燥させたり、お母さんに冬の布団やセーターを作って貰うために、ワタスゲの実を取ってきたり、せっせと働きます。


 子供たちは、他の生きものの子供たちと一緒に、ふくろう学校でいろいろなことを学びます。ふくろうはとても物知りで、子供たちに大切なことをたくさん話してくれます。風の音、怖い獣の声、鷹の羽音、雲雀の歌やカラスのおしゃべりの聞き方も。


 永い冬も、お母さんが編んでくれたセーターを着て、雪の中で元気に遊びまわったり、たき火のそばでおとうさんのお話を聞いたり、楽しく過ぎて行きます。


 やがて暖かな春風が吹いて、雪は解けて雫になって、森中に花の香りが流れます。子供たちはさっそく小川で水遊びです。
 こうして森の小人たちの1年が過ぎて行きます。


四季の移り変わりに寄り添う小人のつつまし生活。
 北欧のお話ですが、つい60~70年前の日本の原風景とも似ていて、どこか郷愁を誘います。
 経済・経済・経済。価値残らなければ生き残れない。そんな息が詰まる社会だけが日本人の正しい生き方なのでしょうかね?

 ネットの真偽不明の情報に振り回されているより、ふくろうの学校の方が遥かに面白くてためになりそうです。