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絵本紹介(209) にちようびの森2015年07月09日 23:21

題名    : にちようびの森
作     : はた こうしろう
発行所  : ハッピーオウル社

 今回ご紹介する絵本は、子供たちの遊び場がどんどん奪われていくお話ですが、最後にお父さんが子供たちを郊外の森に連れ出してくれて、みんな生き生きという展開です。
 本当は住まいの近くに安心して外遊びができる場所が残って欲しいですが、せめて郊外の自然まで浸食されないように祈りたいですね。

 きれいな水が流れて、カニやカエルがいて、渕では飛び込みもできる、子供たちの絶好の遊び場。

 ところがある日遊びに行くと、工事がはじまって川が汚れて遊べません。


 子供たちは仕方なく小川へ。
 小川は泳げないけど、メダカやドジョウやザリガニやカメがいて、子供たちは小さな動物を獲って遊びます。
 ところがある日、小川に行ってみるフタがされていました。

 子供たちは、それじゃあと田んぼに向かいました。
 田んぼはトンボの天国。
 サナエトンボにシオカラトンボ、それにギンヤンマ。
 みんな夢中になって追いかけました。
 ところがある日田んぼに行ってみると、田んぼは無くなって家が建っていました。

 子供たちは次は雑木林に虫取りに行きました。
 クワガタ、カブトムシ、カナブン、カミキリ、アゲハチョウだって獲れましたが、やがて雑木林に看板が立ちました。

 「このはやしのなかで むしをつかまえてはいけません。 いきものをたいせつにしましょう。」

 子供たちは遊び場を失って、仕方がないので狭くて混み合った公園で缶けり、鬼ごっこ、水遊び、シャボン玉をして、思いっきり笑いました。
 そうしたらある日公園に沢山の大人が来て、大きな声を出してはダメ、水遊びもダメ、木登りも禁止、静かにあそびましょう だって。


 とうとう子供たちは行き場を無くして家でゲームをして遊ぶようになりました。

 まったくもう!ですね。
 小川が暗渠になったり、田んぼが宅地に変わったり、雑木林に道路が通ってしまったり、リアルに体験してきたので、この絵本で子供の頃のいろんな寂しさ、思い出しちゃいました。

    数日前、小雨降る中、学校帰りの子供たちが道にひろがって、みんなで傘をキノコにして遊んでいました。時代は変わっても、子供たちのおバカは変わりませんね。なんかホッとしました。
 大人の尺度で見たら、
  ・道で遊んだら危ない!車が来たらどうするの。
  ・傘を振り回しちゃダメ、通る人にあたったら危ないでしょ!
  ・学校からはまっすぐお家にかえりましょう。
  ・傘をおもちゃにして遊んではいけません。壊れてしまうでしょ!
  ・雨に濡れて風邪でもひいらたどうすんの!
 と、注意するところいっぱいですが、でも、子供たち楽しそうでしたよ。
 きっとあの中の何人かは、あの日友達と傘でキノコをつくった思い出、一生持ち続けるんでしょうね。大人のやるべきことは、注意してやめさせるんじゃなくて、子供たちのちょっと危ない遊びを、我慢して見守ることじゃないかな?