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あん 見て来ました。2015年06月01日 23:21

 今日は勤めは非番。
 しかも月始めの日なので、映画が割引料金の¥1,100で見られます。

 そこで、先週封切されたばかりの河瀨直美監督の「あん」を新宿武蔵野館に見に行ってきました。

 ちょっと前まで先着順だった武蔵野館ですが、いつの間にかネット予約できるようになっていました。平日ですが割引の日なので、念のため座席予約してから出かけたのですが、大正解。
 武蔵野館の一番大きなホールがほぼ満席でした。リタイヤした団塊の皆様が多かったですが、結構若い人も目立ちました。

 結論から言うと、とても好きな映画でした。(また涙をこらえるのに苦労しました。)
 たぶん世間的にもとても良い映画と評価されるんだろうと思います。

 映画のおおざっぱなあらすじですが、永瀬正敏演じる店長が一人で切り盛りする小さくて粗末などら焼き屋に、樹木希林演じる老女がアルバイトに雇って貰えないかとやってきます。80近い老女に力仕事は無理と断る店長ですが、老女は日を変えてまた訪ねてきます。再び断る店長に老女は食べてみてくれ自分の作った餡子を置いて帰ります。半信半疑で餡子を食べる店長。最初は臭いを嗅いで、ちょっとなめて、もうちょっとすくって、仕舞にむさぼるように味わい出します。その餡は今まで使ってきた業務用のあんとは比べ物にならないふくよかな味と香りがしたのです。餡を認められた老女はどら焼き屋で働き始めて、周囲に真心を込めて餡をつくる姿や誠実な生き方を身をもって伝えて信頼されて行きます。老女の餡が評判になって大繁盛し始めるどら焼きやでしたが。。。

 永瀬正敏の寡黙な演技、樹木希林の自然で軽やかで可愛らしい演技、それに中学生の女の子役の内田伽羅(と言う子らしい)の独特の間を持った演技が絡み合って、時間が静かに流れていく感じです。
 特に永瀬正敏が良かった。ちょとカラーや重みが違うかもしれないけれど、高倉健と同じようにただ立っているだけでその人の人生を匂わせてくれる芝居でした。

 セリフもごく自然で味がある言葉ばかりで引き込まれましたが、登場する役者たちの微妙な表情が台詞に無い行間を感じ取らせてくれるような映画なので、できればDVDとかでなくて、大きなスクリーンで見ることお勧めです。

 この映画は見に行って良かったです。久々に儲かった感じです。
 (今になって知りましたが原作はドリアン助川さんでした。新聞の人生相談で考え方に共感できる方だなと注目していましたが、小説でも才能発揮されていると初めて知りました。)

 実は今日は新宿武蔵野館と新宿ピカデリーを梯子してもう1本見て来ました。松竹の「駆け込み女と駆け出し男」。
 こちらの話はまた後日。