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絵本紹介(164) あかり2015年01月25日 22:36

題名    : あかり
文      : 林 木林
絵     : 岡田 千晶
発行所  : 光村教育図書

 今回ご紹介する絵本の主人公は、ちょっと変わっていてロウソクです。一人の女の子が生まれた日に初めて火を灯されて、その女の子の成長に寄り添って、人生を照らします。
 ロウソクの炎の持つ暖かな色合いがとても素敵な絵本です。
(お詫び:いつもひどい写真を使っておりますが、きょうはとりわけひどくて、絵本の色を全く再現できていません。是非書店で原本をお手に取ってごらんください。)

 あたらしいろうそくがいま、はじめて火をつけてもらいました。
 うまれてはじめててらしたのは、うまれてまもないあかちゃんと、しあわせそうにわらうかぞく。

 オレンジいろの小さな火が、くらいへやをいっしょうけんめいあかるくします。

 ロウソクは、赤ちゃんのお母さんが赤ちゃんの幸せを願って手作りしたものでした。こころにやさしいあかりがともりますようにと。
 そして、ロウソクはだいじにされて、赤ちゃんにとって大切な夜に火をつけてもらうことになりました。

 次の年から女の子の誕生日にロウソクは火をつけて貰いました。ロウソクに火がともるたびに女の子はだんだん成長して大きくなって、ロウソクはすこしずつ小さくなっていきました。


  最初は幸せなときに照らす明かりだったロウソクは、女の子が大きくなって大人に近づくと、いつしかつらいときに寄り添ってくれる明かりになっていました。

 嵐が来て怖い夜。誰かと喧嘩をしてしまった夜。独りぼっちで寂しい夜。女の子はロウソクの明かりの中で膝を抱えました。
 好きな人ができた時。生きる意味がわからなくなった時。小さな炎は一緒に悩んだり迷ったりしてくれました。

 女の子は家を出て独立するとき、もう小さくなってしまったロウソクを一緒に持って出ました。そしてそれからもロウソクは女の子の新しい家族を照らして、益々小さくなっていきました。<
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 家が新しくなって、天井に明るい電燈がともるようになると、ロウソクは木箱に仕舞われたまま、長い間棚の隅で過ごすことになりました。木箱に近づく人の足音も、だんだん数が減って、とうとう誰も近くに来なくなります。きっと自分はちっぽけになったので、もう役に立たないのだと悲しくなりました。

   そんなある夕暮れ時、ロウソクは不意に木箱から取り出されて火がつけられました。
 ロウソクの火に照らされて、一人のお婆さんの顔が浮かび上がります。
 「ずっとさがしていたのよ」と、お婆さんはロウソクにやさしく語り掛け始めたのです。


 昔、人にはそれぞれ寿命のロウソクがあって、その長さは生まれた時から決まっている。ロウソクが燃え尽きる時が、天に召される時。という話を聞いたことがあります。その話とは違いますが、一人の女の子の人生に寄り添うロウソクって、素敵ですね。 小さな炎でも、見つめていると安心感に包まれるのは、遠い祖先が闇から解放された喜びの記憶なのでしょうか。  実際に世界のどこかでは誕生の日にキャンドルを贈る風習がないかなと思って、バースデーキャンドルとググったら、ケーキに立てるバースデー用のキャンドルばかりにヒットしました。  やっぱり、そんな風習無いのかなぁ?

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