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絵本紹介(162) 雪のおしろへいったウッレ2015年01月18日 23:39

題名     : 雪のおしろへいったウッレ
作      : エルサ・ベスコフ
訳      : 石井 登志子
発行所   : 徳間書店

 今日ご紹介する絵本は北欧スウェーデンを代表する絵本作家エルサ・ベスコフの作品で、冬の始まりと終わりを、豊かな自然の表情や、季節をつかさどる妖精たちを通してとても親しみやすく描いた秀作です。

 6歳になったウッレは、お父さんから初めて真新しいスキーを貰いました。今まではお父さんの農場で働くヨハンさんの手作りスキーしかはいたことがありません。
 うれしくてしょうがないウッレは、早く雪が積もってくれないかと心待ちにします。

 やがて雪が降り始めて、何日かしたある朝、ウッレが目を覚ますと外の景色は、空は青く輝き、雪が何百万の星の様にキラキラ光っていました。

 ウッレは急いで朝ごはんを食べて、暖かい上着を着て、手に長いミトンをはめて、サンドイッチを持って、森に向かってスキーで滑り出しました。


 森は一面銀世界で素晴らしく美しい景色で、ウッレは思わず冬王への感謝の言葉を口にしました。すると目の前に頭の先からつま先まで真っ白な霜じいさんが現れて、ウッレを冬王のしろに連れて行ってくれるというのです。

 ウッレは喜んで霜じいさんについて行きますが、途中で霜じいさんが小さくて怪しげなお婆さんを乱暴に追い払うのを目撃します。

 ウッレがお婆さんがかわいそうと抗議すると、あれは雪どけばあさんで、冬の初めに間違って出てくると、せっかくのきれいな雪景色をとかして台無しにするから、追っ払ったんだと教えてくれました。そして雪どけばあさんが戻ってこないうちに、せいぜいスキーで遊ぶようにと忠告してくれました。

 間もなくウッレは冬王のお城に着くと、玉座に座る王様に会うことができました。怖そうに見えた王様は実はとても優しくて、ウッレにスケート靴をプレゼントすると約束してくれました。

 冬王と会った後、ウッレは城でクリスマスプレゼント用のスキーやスケートの道具を作っている子供たちとたくさん遊んで、忘れられない楽しい一日を過ごします。


 そして雪の城から帰った後も、その冬ウッレは「雪どけばあさんぼくらの雪をとかさないで」と唱えながら、スキーとスケートをずっと長い間楽しむことができました。
 でも冬王が家来と一緒に北極に引き上げてしまうと、雪どけばあさんがやってきて、雪をとかしてあたりをひどいぬかるみにしてしまいました。おかげでみんなひどい風邪をひいてしまったので、ウッレは婆さんに腹を立てました。


 ところがある美しい日、春の王女さまがチョウチョに引かせた車に乗ってやってくると、雪どけばあさんがにこやかに膝をかがめて王女にあいさつをしました。

 その雪どけばあさんの姿を見たウッレは、雪どけばあさんのことが嫌いではなくなりました。


 子供の頃、雪国で育ったもので、この絵本に描かれた雪の降り始めと、春が近づいて溶けていく情景にとても共感できます。しかし、雪どけばあさんとはうまい!(ところで、雪どけは雪解けでしょうか?雪退けでしょうか?うーん、わからん。)

 東京から雪国に引っ越したばかりの頃、幼稚園への通園路が周りの木々まですっぽりと綿帽子をかぶって真っ白な回廊の様になっていることが、うれしくてうれしくてたまらなかったのを鮮明に覚えています。
 春先にはきれいだった雪はシャーベット状になって、油断するとすぐ深みにはまって、長靴の中は冷たい氷水でぐしゃぐしゃ。あっという間に足はしもやけで紫色に腫れ上がって、痒くて痛くて大変でした。
 ウッレと同じようにちょうど6歳の頃に、わたしも初めて自分用のスキーを買って貰いました。それまではお下がりのスキーで、靴を板にバンドで固定するタイプだったのが、ちゃんと身長+30cmの合板スキーで(当時の板の標準は、やたら長かったんです)、カンダッハーという金具のついた立派な板を買って貰っえました。うれしくて家の中で履いて歩き回っているのを父親に見つかって、げんこつ喰らったのが昨日のことの様です。

 おっと、個人的な思い出でにひとり盛り上がってしまって、失礼しました。  今の季節、春の訪れを待ちながら読むのにぴったりの物語です。