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絵本紹介(161) ほんとうにたいせつなもの ― 2015年01月15日 23:28
題名 : ほんとうにたいせつなもの
文 : マックス ルケード
絵 : セルジオ マルティネス
訳 : 松波 史子
発行所 : フォレストブックス
今日ご紹介する絵本は、一見滑稽で浅はかな木彫り小人たちの失敗物語です。でも他人事と笑っていられない、じつは私たち自身もそれと気づかず木彫り小人たちと同じように滑稽な世界に生きているんじゃないの?と思わされてしまう、そんなお話です。
舞台は木彫りの小人ウイミックたちが暮らす村。ウイミックたちはみんな彫刻家のエリの作品で、パンチネロもそんな木彫り小人の一人です。
あるとき、村では箱を集める遊びが流行りました。
はじめはみなそれぞれに箱を集めて楽しんでいたのですが、そのうち一人のウイミックが街で買った新品のきれいな箱を見せびらかして自慢し出しました。
すると自慢されて悔しくなった他のウイミックが、もっと大きい箱を持ってきて、自慢しかえしました。
この自慢ごっこがエスカレートして、いつの間にか箱とボールをたくさん持っている人が偉いウイミックで、持っていない人はダメなウイミックと言われるようになりました。
本当はこんなくだらない競争、大人がきちんとやめさせるべきですが、村長さんも率先して競争の先頭に立ったので、村中の人が巻き込まれて、目の色を変えて箱とボールを集めました。
パンチネロは貧しいウイミックで、箱やボールを買うお金がありませんでしたが、どうしてもたくさん集めて、偉いウイミックと言われたくて仕方がありません。
それでパンチネロは、家じゅうにあるものを売り払い、夜通し働いてふらふらになりながら、箱とボールを買い増やしていきました。
途中、箱やボール集めに夢中にならない友達に、止められたのに、とうとう家まで売って箱とボールに換えてしまいました。
ところがある日、村のルールが一変します。村長の奥さんが、積み上げた箱に昇って、一番高いところにのぼれたウイミックが偉いと言い出したのです。
箱とボールを目いっぱい持って、村に一つだけある山のてっぺんを目指す村人たち。誰もかれも先を争って、他人を押しのけて登っていきます。
パンチネロも遅れまいと、両手いっぱいに買い集めた箱とボールを持って山を目指したはずが間違って、自分を作ってくれた彫刻家のエリの工房に入り込んでしまいました。
すっかり疲れ切ったパンチネロを見たエリは、優しい声で尋ねます。
「おまえは、その箱やボールであそぶのかい?」
パンチネロが首を横に振って応えます。
「たくさん持っている時の気分がすきなの。あの子は偉い子だって、みんなが思ってくれて、うれしいような。。。」
エリは窓の外でわれさきに山に登ろうとしているウイミックたちを指して、今度は、「あのウイミックたちが、幸せにみえるかい?」と尋ねると、パンチネロは今度も首を横に振りました。
エリはパンチネロの肩に手をおいて言いました。
「おまえはね、はこやボールとひきかえに、しあわせをなくしたんだよ。おまえこの頃しあわせじゃなかっただろう?」
エリに言われた言葉がパンチネロの心に響きます。
箱とボールを集めるためにすべてを費やしてしまったパンチネロ。
もう一度幸せな暮らしを取り戻せるのでしょうか?
笑い話で済まされませんよね。私たちもいつの間にか人並みにとか見たことないと話題に遅れるからとかの理由で、自分にほんとうにたいせつでないものを借金して買ってしまったり、長い長い行列に並んだり。代わりに幸せな気分とか幸せな時間を犠牲にしてしまっていること、ありそうですよね。物欲と見栄にさよならするのって、本当に難しい!
ちょっとずれてるかもしれませんが、経済は成長しなければ大変とか、トヨタが一位の座を明け渡したらモノ作り日本はヤバイとか、勝手に妄想してしまっているだけかも。自然に任せたら、結構楽しい未来が拓けたりして。
文 : マックス ルケード
絵 : セルジオ マルティネス
訳 : 松波 史子
発行所 : フォレストブックス
今日ご紹介する絵本は、一見滑稽で浅はかな木彫り小人たちの失敗物語です。でも他人事と笑っていられない、じつは私たち自身もそれと気づかず木彫り小人たちと同じように滑稽な世界に生きているんじゃないの?と思わされてしまう、そんなお話です。
舞台は木彫りの小人ウイミックたちが暮らす村。ウイミックたちはみんな彫刻家のエリの作品で、パンチネロもそんな木彫り小人の一人です。
あるとき、村では箱を集める遊びが流行りました。
はじめはみなそれぞれに箱を集めて楽しんでいたのですが、そのうち一人のウイミックが街で買った新品のきれいな箱を見せびらかして自慢し出しました。
すると自慢されて悔しくなった他のウイミックが、もっと大きい箱を持ってきて、自慢しかえしました。
この自慢ごっこがエスカレートして、いつの間にか箱とボールをたくさん持っている人が偉いウイミックで、持っていない人はダメなウイミックと言われるようになりました。
本当はこんなくだらない競争、大人がきちんとやめさせるべきですが、村長さんも率先して競争の先頭に立ったので、村中の人が巻き込まれて、目の色を変えて箱とボールを集めました。
パンチネロは貧しいウイミックで、箱やボールを買うお金がありませんでしたが、どうしてもたくさん集めて、偉いウイミックと言われたくて仕方がありません。
それでパンチネロは、家じゅうにあるものを売り払い、夜通し働いてふらふらになりながら、箱とボールを買い増やしていきました。
途中、箱やボール集めに夢中にならない友達に、止められたのに、とうとう家まで売って箱とボールに換えてしまいました。
ところがある日、村のルールが一変します。村長の奥さんが、積み上げた箱に昇って、一番高いところにのぼれたウイミックが偉いと言い出したのです。
箱とボールを目いっぱい持って、村に一つだけある山のてっぺんを目指す村人たち。誰もかれも先を争って、他人を押しのけて登っていきます。
パンチネロも遅れまいと、両手いっぱいに買い集めた箱とボールを持って山を目指したはずが間違って、自分を作ってくれた彫刻家のエリの工房に入り込んでしまいました。
すっかり疲れ切ったパンチネロを見たエリは、優しい声で尋ねます。
「おまえは、その箱やボールであそぶのかい?」
パンチネロが首を横に振って応えます。
「たくさん持っている時の気分がすきなの。あの子は偉い子だって、みんなが思ってくれて、うれしいような。。。」
エリは窓の外でわれさきに山に登ろうとしているウイミックたちを指して、今度は、「あのウイミックたちが、幸せにみえるかい?」と尋ねると、パンチネロは今度も首を横に振りました。
エリはパンチネロの肩に手をおいて言いました。
「おまえはね、はこやボールとひきかえに、しあわせをなくしたんだよ。おまえこの頃しあわせじゃなかっただろう?」
エリに言われた言葉がパンチネロの心に響きます。
箱とボールを集めるためにすべてを費やしてしまったパンチネロ。
もう一度幸せな暮らしを取り戻せるのでしょうか?
笑い話で済まされませんよね。私たちもいつの間にか人並みにとか見たことないと話題に遅れるからとかの理由で、自分にほんとうにたいせつでないものを借金して買ってしまったり、長い長い行列に並んだり。代わりに幸せな気分とか幸せな時間を犠牲にしてしまっていること、ありそうですよね。物欲と見栄にさよならするのって、本当に難しい!
ちょっとずれてるかもしれませんが、経済は成長しなければ大変とか、トヨタが一位の座を明け渡したらモノ作り日本はヤバイとか、勝手に妄想してしまっているだけかも。自然に任せたら、結構楽しい未来が拓けたりして。
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