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サンバ、見てきました。2015年01月12日 23:54

成人の日の今日、あぷりこっとつりーはお休み。
前から気になっていたフランス映画の「サンバ」を見に行って来ました。

「サンバ」と同じ監督、主演の「最強のふたり」がスピード感があって軽妙で、爽やかだったので、その路線を期待したのですが、残念ながら全然違いました。

映画のストリーは、パリで10年暮らしたアフリカ移民の主人公サンバは、レストランの皿洗いで真面目に働いて、ようやく料理人への昇格を推薦されます。ところがその直後、突然滞在許可を取り消され、移民局に逮捕されて、裁判で国外退去を言い渡されてしまいます。
 なんとかパリに居残りたいサンバは、当局の目から隠れて、ある時は偽造の滞在許可証で仕事を得て暮らしを続け、そのサンバを移民仲間や、移民局で知り合った元燃え尽き症候群の恋人が優しくささえます。
 そんな感じの映画なので、前作の主人公が型破りで熱い男だったのと対照的に、悲しみを内に秘め、どうしようもない現実の中でも希望を求めようと静かに戦う主人公の姿を描いているので、全編どちらかと言うと主人公の心理描写に重きが置かれて、自然と重く暗い雰囲気が漂ってしまう映画でした。
 
 でも、主演俳優の大きな目は、悲しみや希望の光をよく映し出して、私としてはこの映画も好きです。

 パリに旅行で行かれた方は気づいたと思いますが、パリでは実に多くのアフリカ系移民やトルコ系移民の人たちを見かけました。
 その多くの人たちは不法滞在で摘発されて、強制退去になることにおびえながらも、たくましくパリで仕事を見つけて、故郷の家族を養っているのでしょうね。

 先日起きたフランスの新聞社とユダヤ系スーパーマーケット襲撃事件。容疑者とされる人たちの顔を見ると、アラブ系やアフリカ系で、移民か移民の子孫を想像させます。
 どんな理由があるにせよ、普通に生活をしていた人たちの命を問答無用に奪ったテロは断じて許せませんが、貧しさや機会に恵まれない境遇が、テロ集団に付け入られてしまう心のすさみやすきを作っていたのではないかと考えてしまいます。

 日本でも将来の労働力不足解消に切り札として、移民に労働市場を開放しようという声があるようです。よくよくリスクを考えて、覚悟をもって行わないと、安全安心はあっという間に崩壊してしまう心配がありますよね。