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ハタハタ2014年12月05日 22:53

 今年もハタハタが食卓に上りました。

 神の魚(鰰)、または雷の魚(鱩)と書いて、ハタハタ。
 東京ではなじみが薄い魚ですので、食べたことのない方も多いかと思います。

 体調は20cm位のうろこが無い魚です。普段は日本海の深部に住んでいて、水温が下がる初冬、産卵のため浅瀬にやってきます。
 とても油が乗っていて、焼き魚にすると、ジュージューと油がしたたり落ちるんです。メスはブリコと呼ばれるイクラよりちょっと小さいくらいの粒を大きな塊で腹に抱えていて、焼いて食べると口の中でぷりぷりと卵がはじけます。

 子供の頃、父親の仕事の関係で、秋田市の土崎という港の近くで6年くらい暮らしました。
 ハタハタは秋田音頭の中でも歌われる名物の一つで、秋田の冬には当たり前の魚でした。しかも私が暮らした40数年前は、ちょうどめちゃくちゃ豊漁だった時期だと思われます。港の市場では、縦30cm×横50cm×深さ10cm位の木箱にいっぱい詰まって(たぶん40~50匹くらい)\100。 棒アイスが1本\10、焼き芋5本で¥300くらいの時代でしたが、それでも家族みんなの夕飯のおかずになる魚が、わずか¥100は、超破格の値段だったと思います。

 当時、大酒飲みの父親が給料のほとんどを飲み代に使ってしまって、生活が苦しかった我が家にとって、ハタハタはまさに神の魚だったのでしょう。冬の間、ハタハタは4番サード長島みたいに華麗で不動の存在でした。

 だからハタハタを見かけるとつい懐かしくて食べたくなるのです。
 傷みやすい魚なので輸送が難しく、少し昔は東京で見かけることはありませんでしたが、最近は流通が良くなったのでしょう、ときどき見かけます。
 札幌で暮らしていた頃にスーパーで見つけ、食べたことの無かったUshiさんに教え込んでから、我が家でも冬に1~2度は食卓に上るようになりました。

 今日のハタハタ、ちょっと小さ目ですがブリコも持っておいしかったぁ。値段を聞いたら、2匹で\400くらいだそうで、ひと箱\100から考えたらすんごい高級魚になってしまいました。

 でも一冬に数回、幼かった頃の思い出をよみがえらせながら、幸せそうに焼きハタハタにかぶりつくオジサンを、大目に見てやって下さいね、Ushiさん。