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絵本紹介(149) みまわりこびと2014年11月30日 17:23

題名   : みまわりこびと
文     : アストリッド リンドグレーン
絵     : キティ クローザー
訳     : ふしみ みさを
発行所  : 講談社

 今日ご紹介するのは、「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」の作者として有名な、アストリッド・リンドグレーンが50年前に作っていたお話に、キティ・クローザーが優しい絵を付けて、スウェーデンで2012年に発行された絵本です。
   厳しい北欧の冬が、暖かく感じられる素敵なお話です。

 冬の農場。外は肌を刺すような寒さです。
 家の暖炉には夜通し火が炊かれて、人は皆ベッドで丸くなってぐっすり寝ています。

 でもしずかに眠る農場で、たったひとり起きているのは。。。
 雪深い冬を数えきれないほど見て来た、年を取った小人です。

 みんなが寝静まる真夜中になると、そっと見回りにやってきます。


 人間には小人の姿が見えませんが、朝になると雪の上に点々と 小さな足跡が残っているので、小人がいるのを知っています。

 小人は牛小屋、馬小屋、食料倉庫から道具小屋へ、農場の隅から隅まで見回ります。そして、め牛や馬、羊やニワトリに、人には聞こえない言葉でささやきます。

 「冬は来て、また去っていくもの。
  夏は来て、また去っていくもの。
  緑の牧場で、草をたべる日も、もうすぐさ。」
牛も馬も羊もニワトリも、みんな小人が来るのを待っています。小人の言葉がわかるのです。


 見回りの最後に番犬の元に行き、寒くないように小屋に干し草を足してあげます。
 そして住処の納屋の隅に戻ると、猫にミルクをあげて眠りにつくのでした。


 雪国の農場の、静かな冬の夜の光景を描いたお話で、小人は特別な魔法を使うわけではなく、優しい言葉をささやくだけです。でも、農場に暮らすすべての生きものを幸せにしていってくれます。それは日々の暮らしにとって、一番大事なことなんですね。
 自然への畏敬の念が感じられる素敵な絵本だと思います。

 普段の行いが悪いので、真似してUshiさんの耳元で「冬はきて、また去っていくもの。。。」なんてささやいたら、またなんかヘマしたね!と疑われそう。やめとこ。

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