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絵本紹介(142) 月がくれたきんか2014年11月06日 23:57

作    : ルッサルト
絵    : ウィルコン
訳    : いずみちほ
発行所 : セーラー出版

 冬になると、空気が澄んで月が大きく、明るく見えますね。
 今回ご紹介の絵本は、そんな月がきれいな季節に、夜空を見上げながら読んだらぴったりのお話しです。


 金持ちのルドと、貧乏なミロは隣同士で住んでいました。
 ルドの畑はとても広いのに、ミロの畑はとてもちっぽけでした。それでもミロは少しづつ、何年もかけて、銀貨7枚を貯めていました。

 ある日ミロは自分の楽しい計画を、ついルドに打ち明けてしまいます。
 「あした、町にいって、銀貨7枚で白い馬を買うんだ。日曜日の朝、白い馬に乗って畑を駆け回って、麦の育ち具合を見るんだよ。」

 それを聞いたルドは、貧乏人のミロが白い馬で畑を駆け回るなんて絶対に許せないと思い、何とかルドをだまして銀貨を巻き上げてやろうと考えました。



つぎの朝、市場に出かけようとするミロに、ルドは、鋤が壊れてしまって農作業ができない。このままでは作物の種がまけなくて、飢え死にしてしまうとウソをつきました。
 そして、新しい鋤を買うお金が、あと銀貨7枚足りないので貸してほしい。借り入れが済んだら、銀貨を7枚半にして返すから、と泣きつきました。
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r>  お人好しのミロは、白い馬は後でも買えるからと、気の毒なルドに銀貨7枚を貸してあげました。
   ルドの畑の借入が済んだ頃、ミロはルドに、お金はいつ返してくれるのか聞きました。でもルドは今は返すお金がない、代わりに月のきんかでよければ、すぐ返せると言います。
 月くらい大きな金貨があれば、馬が買えそうなので、ミロはうれしくなって、月の金貨でもいいと言ってしまいました。

 貧しくても人の良いミロ。月のきんかなんて怪しげな物もらって、喜んでいていいの?

 ウィルコンの描くパステル画が、とても美しい静かな世界を作り上げています。確かにまん丸で明るい月は、光輝く金貨みたいですね。
 アポロ計画は枯渇したカリフォルニアの金鉱の代わりに、砂金を求めて月を目指したのかな?