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絵本紹介(132) こぎつねコンとこだぬきポン2014年10月01日 20:18

題名    : こぎつねコンとこだぬきポン
文     : 松野正子
絵     : 二俣英五郎
発行所  : 童心社

 今回ご紹介の絵本は、1977年初版のお話しですが、今でも大人気の絵本なので、ご存じの方も多いかもしれません。
 互いに不信感を抱くお隣さん同志の間を、子供の純真な心が融かして行く物語です。

 つばき山にはキツネの一家が暮らしていましたが、他にキツネはいなかったので、娘のコンはいつも一人で歌を歌って遊んでいました。
 ある日コンがお母さんに「友達ってなぁに?」と尋ねると、お母さんは「一緒に遊ぶ人のこと」と教えてくれました。
 そこでコンは、友達をさがしに出かけます。

 ちょうどその頃、隣のすぎの木山でただ一軒のタヌキの家の子供、ポンは、一人でかくれんぼをしていました。でも自分で隠れて自分で見つけるのにはすぐに飽きて、お母さんに一緒に遊んでと頼みます。
 でもお母さんは「今忙しいの。友達がいるといいのにねぇ」とつぶやきました。

 そこでポンはどこかに友達がいないか、高い木に登って探してみました。

 するとつばき山の方から歌声が聞こえてきます。
 ポンは急いで木から降りて、すぎの木山の端っこの崖まで行ってみると、向こうのつばき山の端っこの崖で歌っていたキツネのコンと目が合いました。


 最初は戸惑った二人ですが、一緒に歌を歌って、とても楽しい気分になりました。これが友達というものなのかなぁ?

 家に帰って、おとうさんとおかあさんに友達が見つかったことを話したコンとポンですが、コンはおとうさんとおかあさんはびっくりして、「それはタヌキで友達なんかじゃない。タヌキは悪賢くてひどいやつなんだから、遊んじゃダメ」とひどく怒られてしまいました。

 ポンもやはりおとうさんとおかあさんから、「キツネはずるがしこくて恐ろしいやつだから、遊んじゃダメ」と強くしかれます。
   そしてどちらも、もしまたタヌキに、キツネに、会った時に身を守るため、何にでも化けられるように、猛特訓をさせられました。

 そんなある日、大嵐が来て木が倒れて、つばき山の崖とすぎの木山の崖のあいだに架かって、橋になりました。
 ポンはその橋を渡ってつばき山のコンの元に走って、コンとポンは今度こそ友達同士になりました。


   ところが、二人で変身比べをしているうちに、コンはポンに、ポンはコンに化けたところで、それぞれの親に呼ばれて、入れ替わったまま家に帰って行くことになってしまいました。

 さぁ、偽物のコン、偽物のポンは、ばれないようにうまくやれるでしょうか?そしてコンとポンが仲良く遊べる日は来るのでしょうか?


 子供同士だと、仲良くすることがこんなにも簡単なのに、ずーっと賢いはずの大人になると、先入観や意地や恐れで、人との関係の修復が苦手になっていたりしますね。
 お隣さんとはお互い良いところを認め合って、仲良くやっていきたいものですね。