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絵本紹介(117) マイマイとナイナイ2014年08月10日 18:15

【お知らせ】
  8月16日(土)、8月17日(日)はお休みさせて頂きます。

【絵本紹介】
題名    : マイマイとナイナイ
作     : 皆川 博子
絵     : 宇野 亜喜良
編     : 東 雅夫
発行所  : 岩崎書店

 夏休みに因んで、怪談絵本をご紹介する第二段です。
 小さな小さな弟を見つけたマイマイと、マイマイの目の中に夢を引っ張り込んでしまったナイナイのお話しです。

   マイマイはちいさいちいさい弟を見つけます。


     でも小さすぎてお母さんも、お父さんも小さな弟が見えません。
 それでマイマイは弟ナイナイをクルミの殻に入れました。

 ある日森に出かけたマイマイは、白い馬に蹴飛ばされて右目をつぶしてしまいます。

 仕方なくマイマイはつぶれた目の代わりに右目にナイナイを入れたままクルミをはめ込みました。

 夜になってマイマイが眠りに落ちると、ナイナイはクルミの殻をこじ開けて外を見ました。

 部屋の中に夜の夢がごちゃごちゃに広がっています。
 ナイナイが夜の夢の尻尾を捕まえてクルミの中に引きずり込むと、夜の夢はクルミを通ってマイマイの頭の中にどんどん流れ込んでいきました。

 突然ごちゃごちゃの夢に頭の中を支配されたマイマイは、
「やめて、ナイナイ。夢を追い出して!」
と叫びますが、夢は消えません。
朝になっても、明るくなっても、夜の夢はマイマイから出ていってくれません。


   前回、怪談絵本としてご紹介した「悪い本」に比べると、お話がとても抽象的で、感受性の鈍ったオジサンにはよくわかりませんでした。
 でも、抽象的なお話と、背徳の香りと、宇野亜喜良さんの絵は、実によく合います。美しくて、グロテスクで。

 お話しの最後では、夜の夢に支配されてかき乱されてしまったマイマイの心は、ナイナイのいたずらでクルミの中に閉じ込められて、とうとう外に出ることができなくなってしまいます。
 無邪気なナイナイの笑顔と心を閉じ込められてしまったマイマイ。残酷なフィナーレが待っているこわーい絵本です。