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絵本紹介(116) 悪い本2014年08月07日 23:30

題名   : 悪い本
作    : 宮部 みゆき
絵    : 吉田 尚令
発行所 : 岩崎書店

 夏と言えば怪談。
 と、言うことで今日から3回、怪談えほんのシリーズご紹介致します。

   この怪談絵本、編者で文芸評論家の東雅夫さんが、「怪談」を通じて想像力を養い、強い心を育んで欲しい、と考えて企画したそうです。なんでも幼いころ怪談に親しむことによって、想定外の事態にも平静を保てる、他者を傷つけることの恐ろしさなどを身に着けて行くものなのだと持論を展開されています。
 本当かなぁ?子供の頃から怪談苦手で、今でもできるだけ逃げ回っている私なんかは、怪談きいたらもっともっと怖い想像が広がって、収集つかなくてパニクってしまいますが。
 気の弱い方、ちょっとだけ勘弁して下さいね。

 
 はじめまして わたしは 悪い本です

   (自分を悪い本と称するモノが、少女に語りかけます。自分はこの世の中で一番悪いことを一番よく知っているのだと。)

 あなたは いま 悪いことが かいてある本なんか
 ほしくないと おもったでしょう
 でも、それは まちがいです

 (悪い本は断定的に言います。)

   いつか あなたは わたしが ほしくなる
 わたしと なかよくなりたくなる

 (な、な、なにを言うんだ!)
 (悪い本は続けます、いつかあなたは誰かを嫌いになって、いなくなれば良いと思うときが、必ず来ると断定します。)

 わたしは あなたに おしえてあげる
 この よのなかで いちばん 悪いことを

 いちばん 悪いことを おぼえたら
 あなたは いちばん 悪くなる

 いちばん 悪くなったら
 なんでも できるようになる

 (キャー、それ以上言うなー!!)

   少女は悪い本から必死で逃げるのですが、行く先々で悪い本は少女を誘惑します。
 悪い本にどんどん追い詰められていく少女の、心の緊張が伝わってくるページ構成の絵本です。

 そして、絵が怖くて圧倒的に不気味。
   直接的に怖いのではなくて、廃屋の中に残された気味の悪い肖像画と目が合ってしまった時のような、ぞぞっとさせられる底の方から這いあがってくるような怖さです。

    正直なところ、気の弱い方やお子さんはちょっと見ない方が良いかもしれません。たぶん夢に出ます。そんな絵です。
   でも、夏だからいいかー。

 ところでわたし、気づかず悪い本読んじゃったのかも。
 だって相当悪いですから。