apricot-tree blog

【お知らせ】
　誠に勝手ながら、8月16日（土）、8月17日（日）は都合により営業休ませていただきます。

【絵本紹介】
題名　　　 ：　父は空　母は大地　インディアンからの手紙
編・訳　　 ：　寮　美千子
画　　　　　：　篠崎　正喜
発行　　　：　パロル舎
http://www.amazon.co.jp/dp/4894191180/harmonia-22/ref=?ie=UTF8&m=A2C8U8R05S18TC

　今回ご紹介する絵本、最初にお断りしなければならない事があります。

　絵本の巻末には、この絵本は1850年代、白人との戦いを止めて一族と居留地に移り住むことを決断したネイティヴアメリカンのシアトル首長から、アメリカ大統領フランクリン・ピアスに宛てた手紙の言葉が大元になっている旨の説明があります。
　しかし一部にはシアトル首長の手紙など元々存在しないので、史実として間違っていると指摘する人もいるようです。

　私にはどちらが正しいのか判断がつきませんが、誰が最初に書いたのかを置いても素敵な作品だと思いますので、ご紹介させて頂きますね。


　絵本はまず以下のような背景の説明から始まります。

　　　　　1854年 アメリカの第14代大統領フランクリン・ピアスは
　　　　　ネイティヴアメリカンの土地を買い取り、代わりに居留地を与え
　　　　　ると申し出た。
　　　　　1855年　ネイティヴアメリカンの首長シアトルはこの申し出を受諾。

　　　　　これは　シアトル首長が大統領に宛てた手紙である。

　そしてシアトル首長の演説です。とても長いので、感銘を受けた言葉を抜粋でご紹介しますと、

　 　　　　　はるかな空は　涙をぬぐい
　　　　　きょうは　美しく晴れた。
　　　　　あしたは　雲が空をおおうだろう。
　　　　　けれど　わたしの言葉は　星のように変わらない。

　　　　　ワシントンの大首長が　土地を買いたいといってきた。

　　　　　どうしたら　空が買えるというのだろう？
　　　　　そして　大地を。
　　　　　わたしには　わからない。

　　　　　わたしの体に　血がめぐるように
　　　　　木々のなかを　樹液が流れている。
　　　　　わたしは　この大地の一部で
　　　　　大地は　わたし自身なのだ

　　　　　川は　わたしたちの兄弟。
　　　　　渇きをいやし
　　　　　カヌーを運び
　　　　　子どもたちに　惜しげもなく食べ物をあたえる。

　　　　　だから　白い人よ
　　　　　どうか　あなたの兄弟にするように
　　　　　川に　やさしくしてほしい。

　　　　　白い人の町の景色は　わたしたちの目に痛い。
　　　　　白い人の町の音は　わたしたちの耳に痛い。

　　　　　水面を駆けぬける　風の音や
　　　　　雨が洗い清めた　空の匂い
　　　　　松の香りに染まった　やわらかい闇のほうが
　　　　　どんなにか　いいだろう。
　　　　　ヨタカの　さみしげな鳴き声や
　 　　　　　夜の池のほとりの
　 　　　　　カエルのおしゃべりを　聞くことができなかったら
　　　　　人生にはいったい　どんな意味があるというのだろう。

　と言うように、自分たちが先祖代々暮らしてきた土地を、後から入植してきた白人に開け渡すけれども、どうか自分たちが土地とそこに暮らす生き物を慈しんできたように、あなたたちも土地を愛して欲しいという願いが切々と語られています。
（全文を読んでみたい方は編・訳者の寮美千子さんのホームページでご覧になれます。http://ryomichico.net/seattle.html　因みにあぷりこっとつりーにも古書で一冊ありまーす。）

　最近実は経済ニュースに踊る「成長戦略」とか、「世界で勝ち抜く」とか、「戦略的○○」とか、勇ましい言葉に息苦しさを覚えてしまいます。
　この先もずっと戦い続けなくちゃいけないの？負けた人はどうなるの？行動には下心が必要で、お人好しじゃだめなの？と、怠け者の私はびくびくです。

　「白い人の町の景色は　わたしたちの目に痛い。」

　何もなんとかの一つ覚えのように、アメリカンスタンダードばかりを信奉しないでも、他にも生きる道はあるように思うのですね。
そんな議論がそろそろあってもよさそうなのにね。

シアトル首長の言葉も素敵ですが、篠崎さんの画いたファンタジックな挿絵も見入ってしまいます。子供より、むしろ大人に読んでみて貰いたい絵本です。

　　ところで、
　【水泳ダイエット　途中経過】目標、30週で10kg減。
　　 　　あれよあれよの10週目
　　泳いだ距離累積　23.2km
　　体重減の累積　　　4.8kg　（看板犬大一匹分まであと少し。）