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絵本紹介(95) ぶたばあちゃん2014年05月22日 23:58

題名   : ぶたばあちゃん
文    : マーガレット・ワイルド
絵    : ロン・ブルックス
訳    : 今村 葦子
出版社 : あすなろ書房

 タイトルと表紙の柔らかい絵から小さなお子さん向きのお話しを想像して手に取った絵本でしたが、実は誰にも避けられない生命の終わりと引継ぎがメインテーマのお話しで、とても考えさせられる内容でしたのでご紹介いたします。

 ぶたばあちゃんと孫娘は、ずっと長い間一緒に暮らしてきました。


 ぶたばあちゃんが竈掃除をしている間に孫娘がまきを割り、孫娘が洗濯物を干しているとばあちゃんはベッドを片付ける。こんな風に二人は家の仕事を分け合ってうまく暮らしてきました。

 でもある朝、ぶたばあちゃんは普段通りに起きてきませんでした。
 ばあちゃんは普段はベッドを汚すからと絶対やらないのに、その日は朝食をベッドで食べました。

 「わたしはくたびれたのさ。」そう言うと、昼も夜も食べずに眠り続けました。

 翌朝ばあちゃんは起き出してきて、おかゆとトーストをちょっとずつ食べて、お茶を飲みました。そして、「今日は忙しくなるよ。」とつぶやきます。
 孫娘は胸が張り裂けそうになりますが、怖くて「どうして?」と聞けませんでした。
 ばあちゃんは図書館に本を返して、銀行の口座を閉じて、食料品店や八百屋さんの支払いを済ませて、電気代も燃料代も払いました。
 そして孫娘と休み休み町を歩いて回り、木々や花々や空を眺め、耳を傾け、臭いをかぎました。


 ぶたばあちゃんと孫娘は遅くになってから家にもどり、疲れ切った婆ちゃんは床に就きます。
 孫娘は婆ちゃんのそばいて思い出を話したり、窓を開けて月の光やそよ風を部屋に向かい入れました。

   やがて孫娘はばあちゃんのベッドにもぐりこみ、昔ばあちゃんが自分にしてくれたようにばあちゃんをしっかりと抱きしめました。
 ばあちゃんと孫娘はこれを最後に、次の朝までしっかりと抱き合っていました。



   普段、自分はあまり長生きしなくていいやと思う瞬間があります。
 それなのに実際に最期が近づいたときには、きっとぶたばあちゃんみたいに落ち着いて残る人たちに別れを告げられはしないでしょう。
 刻々と減っていく残された時間に焦って、苛ついて、怖くて、誰かにからみそうです。
 どうしたら心静かに次にバトンを渡せるのか、まだまだ答えを探して修行が必要そうです。