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絵本紹介(92) ふたりだけのとっておきのいちにち2014年05月06日 22:45

題名   : ふたりだけのとっておきのいちにち
文    : ヘレン ダンモア
絵    : レベッカ コッブ
訳    : 三辺 律子
出版社 : 文渓堂

 リンの住む海辺の町に、今年の夏もロビーの一家がやってきました。

 ロビーはおとうさん、おかあさん、そして兄弟たちとリンの家に向かい、荷物を置くとすぐにリンと一緒に毎年遊んでいるとっておきの海岸に駆け下りていきました。


 その場所は岩かげの真っ白い砂浜で、小さな川が流れています。
 ロビーとリンは今年この場所に秘密の島をつくる計画を話し合いました。

 一日目、二人は二人の秘密の島に赤い旗をたてて、小川をせき止めて水をたたえた湖を作りました。
 二日目、二人は船の帆につかう布で小屋を作って、入り口を貝殻で飾りました。


   三日目、ロビーとリンは小屋の後ろに砂山をつくってコンブを敷いて、誰も入ったことの無いジャングルを作りました。
 四日目、ロビーはカニを捕まえて、リンは入り江に貝殻と石で人魚を作りました。

 五日目、六日目と楽しい秘密の島での時間は続きましたが、明日はとうとうロビー一家が街に帰らなければならない日になってしまいました。

 ずっとずっと一緒に遊んでいたい二人は、最後の晩に家を抜け出して、港に泊めてあった赤い帆の船に隠れることにしました。ロビーのおとうさんたちが帰れば、ロビーはいつまでもリンの家にいられるだろうと。

 ところが、二人が寝込んだ間に船は勝手に港を離れて走り出してしまいます。

 さて、二人はどうなる?行く手には何が?


 幼いころ大人には内緒の秘密基地を作って遊んだ思い出って、ありませんか? それは林の中だったり、木の上だったり、屋根裏だったり。 数人の仲間だけが知っている内緒の空間は、たとえぼろくても満足感や自立感が得られて、急に大人になった気分にさせてくれました。

   この絵本はいつまでも楽しい夏休みを続けていたいロビーとリンが、ボートに隠れているうちに流されて不思議で素敵な体験をするお話ですが、二人が作り出した秘密の島には、子供の頃のワクワクした秘密基地の思い出を重ねてしまいました。

 最近は大人になっても隠れ家好きが増えているようですが、隠れ過ぎて家庭を失わないように気を付けないとね。

PS. この絵本の絵がとてもきれいな色と特徴あるラインで描かれていることお伝え忘れて、絵作者のことを調べていたら、訳者の三辺律子さんのコメントがありました。 この絵本の絵を細かいところまでちゃんと見ていると、作者の秘密のメッセージがたくさん隠されているのだそうです。
 全然気が付かなかった。。。 明日もう一度よーく見てみよっと。