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絵本紹介(44)さむがりやのサンタ2013年11月03日 23:25

題名  : さむがりやのサンタ
文    : レイモンド・ブリックス
絵    : レイモンド・ブリックス
訳    : すがはら ひろくに
出版社 : 岩波書店

 季節柄、そろそろクリスマスに因んだ絵本のご紹介を増やしていこうと思います。

 クリスマス特集1回目は、スノーマンで有名なレイモンド・ブリックスの作品で、邦題「さむがりやのサンタ」(原題 Father Chrismas)という絵本です。

 楽しかった夏のバカンスの夢を見ていたサンタクロースは、クリスマス・イヴの朝、目覚まし時計にたたき起こされてご機嫌ななめ。「やれやれ、またクリスマスか!」と忌々しげにベッドから起き上がります。


 窓の外で降り出した雪を恨めし気にながめて、「ふゆはいやだよ まったく!」とか「はやくなつにならんかねえ。」とかぶつぶつ独り言の文句を言いながら、ネコや犬やトナカイに餌をあげて、自分も朝食を済ませました。


それからようやく納屋からそりを持ち出して、プレゼントをいっぱいに積み込んで、トナカイをつないで、おなじみの赤い服に赤い帽子に着替えます。


留守中家の中が冷えないようにストーブに石炭を足して、ネコと犬に行ってきますの挨拶をして、いよいよ橇でクリスマス・イヴの空に飛び立ちました。
でもサンタクロースを待っていたのはひどい吹雪と雨と雷と、そして霧。


 ひどい天候に負けずに夜の街にたどり着くと、さっそく家々にプレゼントを配って歩くのですが、「えんとつなんかなけりゃいいのに!」とか、子供が用意しておいてくれたお菓子とジュースに、「ふん なんだジュースか。」と相変わらず毒舌ばかり。


 口は悪いけど、一生懸命プレゼントを配って歩くサンタクロース。
 とうとう夜が明け始めて牛乳配達のオジサンとすれ違います。
さあ、あと一軒。女王様の一家にプレゼントを届けたらやっとお終いです。


朝日と一緒に居眠りしながらトナカイに連れられて家に戻るサンタクロース。


 サンタさんだって、疲れますよね。
 毒舌といい、疲れてへばっちゃうところといい、聖人サンタをとても人間臭く描いている視点が愉快ですし、絵も柔らかでユーモラスで、とーっても好きな絵本です。

 原題の"Father Christmas"よりも、邦題の「さむがりやのサンタ」の方がぴったりのような気がしますねぇ。