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博士の今昔2013年08月28日 20:45

 最近、訳あって医学的な研究ができる人の求人窓口みたいなことをやっています。

 その際に驚いたことが、努力を惜しまず優秀な学校に進学して、最高の博士の学位を取りながら、仕事の機会に恵まれない人が想像以上にたくさんいそうなことです。

 応募に際して、履歴と現職の年収や希望年収を書いていただいているんですが、「えっ、博士なのに。」と驚くほど、低い収入に甘んじているケースばかり。
 もちろん、現在の不遇もあって求人に応募して下さっている方々という事情もあると思いますが、それにしても。。。

 私が大学生だった三十数年前でも、教授が「昔は、末は博士か大臣かと言われた憧れのエリートが、いまじゃダンプの運ちゃんと給料変わんないんだよ。やんなっちゃうよ。」(一部不適切な表現がありますが、某教授の言葉をそのまま再現しました。)と、ぼやいていました。

 が、そのころと今では程度が、それこそ次元が違いそうです。
 
 今でも大臣の方は相変わらず羽振りがよろしいようですが、博士の地滑りはここまで来たかという印象です。

 個人的な感覚ですが、バブル期に政府からの要請を受けて理系の大学院の門は広くなり、その結果修士や博士が量産されることになったように思います。
 でも、職業としての研究者はそれほどポストが増えたわけではないので、少ないポストを巡って学位取得者のデフレが起きてしまっているのでしょう。

 おまけに大学の研究室は成果主義で競わされているので、大学院生や学位取りたてのポスドクは都合の良い労働力としてコキ使われ、ろくに面倒を見てもらえず、研究費の切れ目で冷たく放り出されているように見えます。

 日本全体で若者に起きている労働力搾取被害に、知的職業の若い博士も例外ではなく遭遇しているんですね。

 現政権は、iPS細胞の産業化を成長戦略の柱の一つにとはしゃいでいるようです。
 でも知的な労働成果を、儲かる儲からないだけで評価するような今の空気では、食い詰めて思いつめた研究者が、一発逆転狙ってまたぞろデータ改変とかねつ造とか、日本の科学の信用を貶めてしまうような破廉恥行為に走る危険性が、潜んでいるように思うのです。

 杞憂ってやつですかね。

 お金持ちの経営者のみなさん。いい加減独り占めはやめて、せめて若者が家族を持てるくらいの報酬、出しましょうよ。