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絵本紹介(25)2013年08月23日 23:27

題名  : いつも だれかが。。。
文    : ユッタ バウアー
絵    : ユッタ バウアー
訳    : 上田真而子
出版社 : 徳間書店

 この絵本は、私たちの人生、誰かのお世話になりながらうまくやってこれていることを思い出させてくれる本です。

 ドイツのある街のあるホスピスに入院しているおじいちゃん。
 孫の男の子に自分の幸運だった一生を振り返りながら、話して聞かせます。
 「ぼうや、わしはなにをしてもうまくいったんだぞ。。。」

 おじいちゃんは小学生のころ、毎日大きな天使の像が立つ広場を通って学校に通っていました。
 おじいちゃんはちっとも天使のことを気にしていませんでしたが、天使の方では、いつもおじいちゃんのあとをついて歩いて、危険から守ってくれていたのです。

 例えば、バスに轢かれそうなときは、バスの前に飛び出して押さえたり、穴に落ちそうになったら釣り上げて飛び越えさせたり、子供を狙う暴漢の気をそらせたりして。

 そうしておじいちゃんは天使に守られてすくすく大きくなって、ナチスが幅を利かせた戦争時代も、災厄に巻き込まれることなく過ごすことができました。
 戦後、食べ物も仕事も無い世の中でも、天使のお蔭で幸運に恵まれて、やがて結婚して家族を持てたんです。

 このお話では、人生つつがなく過ごせるように守ってくれたのは天使ですが、私たちは誰でも両親であったり、兄弟であったり、家族であったり、友人であったり、あるいは取引先であったり、実はいつもどこかで誰かのお世話になって、幸せな人生を歩けているように思います。
 それぞれに天使が付いてくれているんです。

 だから、このお話は特別天使にひいきにされたラッキーな人の物語ではなくて、誰でも多かれ少なかれ”天使”に助けてもらったことあるでしょ?という問いかけられてるように思います。

 誰の世話にもならずに一人で生きてきた、なんて肩怒らせないで、「いつもだれかが。。。」と周りに感謝して暮らしたいですね。

 余談ですが、私には4歳年下の従弟がいます。
 昔、その従弟が田舎の先祖代々の墓の前で撮った記念写真が、なぜか私のアルバムに入っていました。ちょうど心霊写真なんかに興味をもった年ごろに、その従弟の写真を見てびっくり。従弟の背後におじいさん、おばあさんの顔が全部で7~8人分浮いていたんです。
 でもどの顔も穏やかに微笑んでいる様に見えて、全然怖くない。
 子供ながらに、「あーご先祖様がみんなで彼を守っているんだ。」と妙に感心しました。
 
 都会育ちだった従弟ですが、今は先祖のお墓のある地域で、事業を成功させて大きな会社を経営しています。

 もちろん、彼の才能と努力が成功を生んだのでしょうが、先祖の地に戻って成功したあたり、あのご先祖様達の心霊写真となにか因果があるの?などと、この絵本を読んで従弟のことを思ってしまいました。