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絵本紹介(6)2013年06月23日 17:25

 タイトル : 明日もいっしょにおきようね
 文     : 穴澤 賢
 絵    : 竹脇 麻衣
 出版社 : 草思社

 店主の好みが入ってしまうので、どうしても動物ものから紹介してしまいます。ゴメンナサイ。

 今日ご紹介するのは、2009年に岐阜県の保健所で本当にあったお話が元になっている絵本です。

 捨てられてしまった犬や猫が集められて処分されてしまう、目立たない場所にある建物。 ”ここ”に通う、ノリコさんという一人の女性がいました。

 捨てられたっておなかいっぱい食べさせてあげたい、最後まできれいなところで寝かせてあげたいという思いから、ノリコさんは仕事を終えてから不幸な動物たちの世話に通っていたのです。

 ある日ノリコさんは”ここ”でとても大きくて不機嫌な顔をした猫のデカオと出会います。怖い顔なのでおっかなびっくり近づくと、意外とデカオはとてもおとなしくて、ノリコさんがあげた餌をペロリと平らげ、おかわりまで完食してしまいました。

 翌日も”ここ”に通って世話をするうち、ノリコさんはデカオのことがとても気になるようになりました。本当は連れて帰りたいけど、ノリコさんの家にはもうたくさんの猫がいました。それに”ここ”にいるすべての動物たちを救ってあげることは、どんなに頑張ってもできないのです。

 明日は週一度の動物たちの処分日、水曜日という夜、ノリコさんはデカオに心の中で謝り続けながら、”ここ”を後にします。
 「今度生まれかわったら、どうか素敵な人にであってね。」と。

 でも水曜日にノリコさんが”ここ”に来てみると、デカオが変わらずいるではありませんか! 施設の都合でたまたま処分をまぬかれたデカオ。喜んだのもつかの間、ノリコさんは気づきます。
 来週の水曜日には今度こそ処分されてしまうんだ。
 
 ノリコさんはすっかりデカオが好きになっていて、頭からデカオのことが離れなくなりました。でも一度うちに帰っても気持ちが変わらないことを確かめて、ノリコさんはやっとデカオを引き取る決心をします。

 そして金曜日、引き取る準備をして”ここ”に来てみると、デカオの姿がありません。あわてて職員さんに聞くと、絶望的な答えが返ってきました。
 「ついさっき処分したよ。」

 ノリコさんはパニックになって筋弛緩薬を注射されたデカオが入れられた冷凍庫を開けました。そこには黒い大きなビニール袋がありました。ビニール袋を抱きしめて泣くノリコさん。「わたしがもう少し早く迎えに来ていたら、こんな目に合わずに済んだのに。。。 デカオ、デカオ。。。」


 このお話はデカオという一匹の猫とノリコさんという優しい女性の間に本当に起きた奇跡の話です。

 私たちはこのお話に接した時、デカオ以外にも、わけもわからず”ここ”に連れてこられて、名前も付けてもらえずに天国に旅立っていった無数のデカオがいることを、またこれから同じ運命をたどるかもしれないたくさんのデカオがいることに気づいて、少しでも悲しい物語を減らす努力をしていかなければなりません。

 できるだけたくさんの方に読んでもらって、考えてもらいたい一冊です。